Hynix Semiconductor(Hynix)は、STT-RAMの技術開発を行っている米Grandisと、次世代メモリのSTT-RAM(Spin-Transfer Torque RAM)技術に関するライセンスおよび共同開発契約を締結したと発表した。

契約に従いHynixでは、GrandisからSTT-RAMに関する技術ライセンスを「業界では初めて」(Hynix)取得することとなる。また今後両社から研究人員を出し合って、共同で製品開発を進めていく予定であるという。

STT-RAMは、低電力消費、SRAM並みの高速性、高耐久性といった特徴を持つ不揮発性メモリ。Hynixによると「ほぼ永久的に反復記録および再生が可能」であるほか「DRAM以上の高容量を実現する」(同)という。

HynixによるとSTT-RAMは2012年から本格的な市場が形成されると予測されている。初期はモバイルアプリケーションに利用され、NOR型フラッシュだけでなく、長期的にはDRAMまでをも代替すると見られている。

こうしたSTT-RAMに関して、Grandisと契約するのは韓国のメーカーではHynixが初めてだという。提携の理由について同社では「次世代メモリ技術を早期に確保し、今後の市場をリードする可能性を高めたい」と述べている。さらに「PRAM(Phase change RAM)やZ-RAM(Zero-capacitor DRAM)といった次世代メモリ技術のラインアップを取り揃えて、市場の中心となる製品が変化しても、より柔軟に対応する力をも確保できる」(同)と述べ、次世代メモリに対する素早い動きを見せている。

共同開発期間は「明らかにできない」(同)ということだ。また実際に共同開発した製品が出る時期についても「次世代メモリであるため、いつになるか分からない」(同)と説明している。

ちなみにHynixはSamsung Electronicsとともに、韓国政府の知識経済部が2007年末から推進している、第2段階の「次世代テラバイト級不揮発性メモリ開発」事業に参加している。次世代メモリの核心技術を開発しようというのが、同事業の目的だ。

この事業の一環として2008年1月には、Samsungや漢陽大学などと共同で、STT-RAMの開発を行うことで合意している。これに関してHynixでは「Grandisの技術と動作原理は同じだが、データ保存の場所を実現する方式には違いがある」として、今回の契約とは別個の開発課題であることを強調した。

いずれにしても、HynixがSTT-RAMにいち早く対応しようという姿勢が、2008年に入り立て続けに見え始めている。Grandisとの共同開発作業が実際に始まれば、こうした動きはさらに活発化することが見込まれる。

次世代不揮発性メモリ開発と関連した産学研協約締結の場にて。左からSamsung Electronics副社長のイ・ウォンソン氏、産業資源部次官補のキム・ユングン氏、漢陽大学教授のパク・ジェグン氏、Hynix Semiconductor副社長のパク・ソンオク氏