欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)は3月28日(ベルギー時間)、フィンランドNokiaによる米NAVTEQ買収計画に関して、フェイズ2として詳細な調査を行うことを発表した。欧州合併規制に基づき、地図データの価格やサービスに与える影響を調査する。2008年8月8日までに最終的な結論を出すとしている。

NAVTEQは、ナビゲーション対応のデジタル地図を提供するプロバイダ。Nokiaは2007年10月、NAVTEQを約81億ドルで買収することで合意したと発表していた。携帯電話メーカーのNokiaは携帯電話で利用するサービスを拡充しており、NAVTEQ買収により、地図/GPSナビゲーション分野のサービス強化を狙う。Nokiaは現在、地図・GPSナビゲーションサービスとして「Nokia Maps」を提供しており、NAVTEQを獲得することで地図データを自社で所有することになる。これにより、位置情報認識など他のサービスと連携したインターネットナビゲーションサービスを提供できると説明していた。

NAVTEQが提供するナビゲーション対応デジタル地図は、GPSナビゲーションサービスにとって重要なサービスとなる。EUによると、現在この市場は、NAVTEQとオランダTele Atlasの2社が独占している状態という。今回の詳細調査開始について、フェイズ1の調査により、NokiaとNAVTEQが合体した場合、欧州経済地域において垂直型市場における競争を阻害する深刻な懸念が持ち上がったため、としている。

新たに開始するフェイズ2では、NAVTEQがNokiaの傘下となった場合、他の携帯電話メーカーなどNokia以外の企業に提供するデジタル地図の価格が吊り上がるかどうか、NAVTEQのサービスへのアクセスが制限されないかどうか、の2点を中心に詳細な調査を行うという。

今回の調査の期間は90作業日で、125作業日に延長の可能性もある。8月8日までに最終的な結論を出す予定。ECでは、NAVTEQのライバルであるTele AtlasとオランダのPND(パーソナル・ナビゲーション端末)メーカー大手 TomTomの合併についても同様の調査を行っている。TomTomはTele Atlasの買収計画を2007年7月に発表している。