IPA IT人材育成本部 本部長の松田晃一氏 |
独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)は、「ITスキル標準V2 2006」の新バージョンとなる「ITスキル標準V3」と、「情報システムユーザースキル標準(UISS)」の新バージョンVer.1.2を、IPA ITスキル標準センターのWebサイト上で公表した。
発表に先立ってIPA IT人材育成本部 本部長の松田晃一氏は、「スキル標準と情報処理技術者試験の整合をとり、融合していくことによって、IT人材育成のための役立つ道具になると期待している」語った。
ITスキル標準とは、各種IT関連サービスの提供に必要とされる能力を明確化、体系化した指標で、2002年12月に初めて公開された。2006年2月のV2を経て今回2度目のバージョンアップとなる。IPAの調査によれば、大企業の6割以上がすでに導入済みであるという。
今回、
1.レベル1、2の職種を共通化
2.レベル評価手段として情報処理技術者試験の活用(レベル1~3)
3.専門分野の変更
の3つのポイントについて改訂が行われている。
IPAではITスキルをレベル1(低:エントリ)から、レベル7(高:スーパーハイ)まで分類しているが、今回職種に特化した知識だけでなく、幅広い知識の習得を目指してほしいという考え方から、レベル1、2については職種区分をなくし、指標を共通化した。
IPA IT人材育成本部 ITスキル標準センター センター長 丹羽雅春氏 |
情報処理技術者試験の活用では、レベル1から3までのITスキル標準の「スキル熟達度」のレベル要件と、試験の出題にあたって想定している合格者の「知識」および「技能」の水準が整合される。具体的には、ITスキル標準の「レベル1」を情報処理試験の「ITパスポート試験(IP)」に、「レベル2」を「基本情報技術者試験(FE)」に、「レベル3」を「応用情報技術者試験(AP)」にそれぞれ対応させる。そして、試験の合格によって、当該レベルで期待される必要最低限の能力レベルに到達しているとみなす。
専門分野の変更の変更では、コンサルタント、ITスペシャリスト、アプリケーションスペシャリストの3つの専門分野の再構成を行った。
今回説明を行ったIPA IT人材育成本部 ITスキル標準センター センター長 丹羽雅春氏は、「試験資格は、必要最低限持っていてもらいたいもの。試験合格を目的化しないでほしい」と繰り返し強調した。
なお、レベル4以上の評価に関しては、ITスキル標準の職種、専門分野と高度試験区分との対応づけを行い、2008年10月に改訂版を、その後業務履歴を用いた職種ごとの評価のための手引きを公表する予定。
一方、「情報システムユーザースキル標準」は、情報システムユーザー企業における適切な人材配置の促進と、それによるユーザー企業の競争力強化に資することを目的として、組織や人材に必要となるスキルおよび知識を、網羅的かつ体系的に整理、一覧化したもの。今回のVer.1.2では、次のような改訂を行った。
1.情報システム(IS)機能の再検証と不足する機能の追加
・IS機能全般を検証し、IS機能の追加および整理統合、機能間の関係見直し
・ITガバナンスの観点からCOBITを参照し、タスクフレームワークならびに機能・役割定義の修正
2.本スキル標準が参照するITスキル標準との関連の具体化
機能・役割定義において、各IS機能に求められるスキル・知識項目の対応を整理
3.情報処理技術者試験 新試験制度との整合化のための今後の改訂方針の織り込み
レベル評価手段として情報処理技術者試験の活用(レベル1~4)