米Motorolaは3月26日(現地時間)、収益改善と成長促進を目指して同社の事業を2つに分割することを発表した。2009年をめどに「Mobile Devices」と「Broadband & Mobility Solutions」を主体にした2つの独立会社を設立する。同社の主力事業だった携帯電話端末事業は現在、世界市場シェアが3位に転落するなど低迷しており、同社大株主のCarl Icahn氏が事業分割による収益改善を強く訴えていた。
今回の事業分割案では、Mobile DevicesとBroadband & Mobility Solutionsという同社の2つの主力事業をそのまま独立した上場会社として分離する計画だ。Mobile Devicesに含まれるのは、携帯電話端末と関連のアクセサリビジネス。一方のBroadband & Mobility Solutionには、CATVで使われるセットトップボックス(STB)、プロバイダ向けのIPビデオ配信ソリューション、携帯電話事業者向けのネットワーク設備、無線LANを含む企業/家庭向けワイヤレス装置、公共事業向けの緊急無線設備、そして米Symbol Technologies買収で獲得したバーコードスキャンなどのモバイルソリューション事業など、携帯電話以外のほとんどの主力事業が割り当てられる。つまり事実上、低迷する携帯電話事業の切り離しを狙った施策であることがわかる。
「われわれの今回の決定は、役員会ならびに管理チーム、そして独立アドバイザーらの間で行われた見直しプロセスを反映したものだ。業界をリードする2つの新会社を設立することで、柔軟性が高く、より財務的に健全で、事業目標にフォーカスした運営が可能になる。同時に、株主もターゲットを絞り込んだ投資を行える」と米Motorola社長兼CEOのGreg Brown氏はコメントしており、Icahn氏を含む投資家らに事業プランへの理解を求めた。
事業分割プランは必要機関らによる承認プロセスを経て、2009年には完了する見込みだと同社では説明する。分割後、既存株主は2つの新会社の株を所有することになる。本発表直後の26日早朝の取引で同社株価は5%急上昇し、同日の取引を前日比2.66%プラスの10.02ドルで終えた。