日本銀行松江支店はこのほど、金融機関を検査した際の内部資料の一部がインターネット上に流出したと発表した。現在流出が確認されているのは、2金融機関の決算と14社の融資先の情報、16金融機関の検査情報。すでにネット掲示板などに拡散しており、「削除依頼がなかなか追いつかない」(日本銀行)状況が続いている。

日本銀行松江支店が流出を知ったのは21日午前10時ごろで、匿名で連絡があった。調べによると、同支店職員が上司の了解を得ず資料を自宅に持ち帰り、私物パソコンで仕事をしたのが原因であることが分かった。職員は以前私物パソコンでファイル交換ソフトを使用しており、同ソフトを介して情報が流出した可能性が高いが、同職員は「事件の原因となった作業をする前にはすでに同ソフトを削除していた」と話しているという。

流出した情報は、ネット上の情報サイトを通じて「2ちゃんねる」などに拡散。中には、金融機関の取引先について「破綻懸念先」とする記述もあったといい、日本銀行ではこうした企業などにすでに謝罪した。

日本銀行では、上司の了解を得ずに資料を持ち帰ることや、私物のパソコンを使っての仕事を禁止している。今後はルールの徹底化を図り再発防止に努めていくとしている。

だが、拡散してしまったネット上の情報は、収拾がつかなくなってしまっている。毎日新聞の報道によれば、破綻懸念先と記述された企業などから「日銀につぶされる」などの怒りの声も出ているという。

日本銀行によれば、「流出した情報が出ているサイトや書き込みは、見つけ次第削除依頼しているが、すぐに応じてくれるところばかりでもなく、拡散ぶりに削除依頼が追いついていない」と話しており、こうした事件の事態収拾の難しさをあらためて示した形となっている。