環境省は24日、国内で昨年11月に発見された新種のクワガタを、絶滅が危惧される希少種として、種の保存法に基づく緊急指定種に指定した。すでにネットオークションで11万~12万円の高値が付いており、「ネット売買などで人気が出れば乱獲の恐れがある」として発見から異例のスピードでの指定となった。

タカネルリクワガタのオス(左)とメス(出典:環境省報道資料)

指定されたのは、横浜市在住の研究者が発見した「タカネルリクワガタ」。体長は約1センチで、オスは青緑色、メスは銅色の金属光沢があり、非常に美しい。昨年11月に新種として記載された。

ネットオークションでのタカネルリクワガタの売買については、今年1月末、昆虫の専門家らから環境省に情報があった。この時点での売買には違法性はないが、同省はこれまでの調査で、同クワガタが「ある山系の非常に限られた地点でしか分布が確認されていない」として、緊急に規制することとした。

種の保存法の正式名称は、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」。対象となった絶滅が危惧される動植物の捕獲、譲渡、輸出入を禁止しており、違反すれば1年以下の懲役か100万円以下の罰金が科される。

緊急指定は、環境相が特に必要と判断した場合に官報で公示し、政令を改正して新たに対象を入れるのと同等の措置を、約3年間にわたって行うことができる。だが、これまで緊急指定されたのは、1994年12月に指定されたワシミミズクを含めわずか3種で、タカネルリクワガタは4種目となる。

同省 自然環境局 野生生物課 係長の中島治美氏は、「タカネルリクワガタは非常に美しく、マニア好み。このままだと春になって大量に捕獲されることが予想されるため、約13年ぶりの緊急指定をすることになった」と話している。