日本アバイアは、同社の推進するユニファイドコミュニケーション(UC)戦略を強化、複数のアプリケーションをパッケージ化、導入しやすくした「Avaya Unified Communications Editions」と、Webブラウザベースのシンクライアント型ソフトフォン「Avaya one-X Portal 1.0.1」を発表した。UCは、電話、インスタントメッセージなどの通信手段を統合、企業内の業務上のやりとりを効率化し、生産性向上を図る試みだ。

今回の製品は、IP-PBXソフトウェアにメッセージングソリューションを組み合わせたUCのインフラパッケージ「Avaya Unified Communications Essential Edition」と、同社が現在提供している、すべてのUC関連アプリケーションとミドルウェアを組み合わせたアプリケーションパッケージ「Avaya Unified Communications Standard Edition」の2種類で、IP-PBXソフトウェアとUCアプリケーションを個別に購入した場合と比較して7割安くなるという。「Avaya Unified Communications Editions」は5月から提供開始する。「Avaya Unified Communications Essential Edition」は、IP-PBXソフトウェアの「Avaya Communication Manager」と、メッセージングソリューションの「Avaya Modular Messaging」で構成される。このパッケージでは、6人が参加できる電話会議、基本的なボイスメール、Microsoft Outlookや、IBM Lotus Notesとメッセージングシステムとの連携により、電子メールと同様にボイスメールにアクセスする機能などを備えている。

電話機能としては、1つの電話番号、たとえば内線番号であっても、外出先、自宅など、場所を問わず、企業内固定電話、携帯電話、自宅の固定電話など、通信手段の属性にかかわらず通信ができる。かかってきた電話を、固定電話および携帯電話に同時着信させることができ、企業内で自席をはずしていても、電話を受けることが可能となる。また、携帯電話でPBX機能を利用できるとともに、PBXからのコールバック発信機能により、携帯電話、自宅固定電話からの発信であっても、通話料金はPBXに課される。さらに、携帯電話、固定電話両方の通話履歴を統合化、携帯電話、あるいはパソコン上に表示できる。

「Avaya Unified Communications Standard Edition」は、Webブラウザベースのシンクライアント型ソフトフォン「Avaya one-X Portal」、携帯電話連動機能(Avaya Communication Managerのオプションライセンス)「Avaya Extension to Cellular」、Microsoft Office Communicatorに対応したコミュニケーションミドルウェア「Avaya Application Enablement Services」、IP電話機用VPNクライアントソフトウェア「Avaya 4600 VPN Phone Software」H.323高機能ソフトフォン「Avaya IP Softphone」 ピア・ツー・ピア通信機能を持つSIPソフトフォン「Avaya one-X Desktop」などで構成される。

IDCジャパンの調査によれば、IP電話を利用している企業のうち、UCアプリケーションを導入しているのは35%に留まるという。同社 ソリューションマーケティング部 ソリューションマーケティングマネージャ 橋村信輝氏は「IP電話は、コスト削減のためのツールとして使われているが、効率化/業務改善には活用されていない」と話す。

では、UCはなぜそれほど普及が進まないのか。その理由について、同社では次のように分析している。ひとつには、ベンダ側に責任があるという。「1つのUCアプリケーションだけでは、UC導入の利点が明確化せず、アプリケーションの複合的な利用が必要になるが、複数のアプリケーションのうち、どれを選べば良いのかわかりにくい面があった」(同社 ソリューションマーケティング部 ソリューションマーケティングマネージャ 間野美紀氏)からだ。

一方、ユーザーとしての企業側は「コールセンターのような、顧客との接点として、いわば『会社の顔』といえる部門には重点的に投資するが、社員どうしのコミュニケーションの効率化までは、あまり考えられていなかったのでは」(同)と、同社ではみている。間野氏は「今後、企業がさらにビジネスを成長させるには、従業員ひとりひとりの生産性を伸ばす必要がある」と指摘、そのためにはUCアプリケーションの活用に効果があるとしている。

日本アバイア ソリューションマーケティング部 ソリューションマーケティングマネージャ 橋村信輝氏

日本アバイア ソリューションマーケティング部 ソリューションマーケティングマネージャ 間野美紀氏

今回、同社がUCアプリケーションをパッケージ化したのは、これらの課題に対する1つの回答だ。同社は従来、IP-PBXと各UCアプリケーションを個別に販売していたが、複数のUCアプリケーションのライセンスを1つにするとともに、別々に購入するより格段に価格を安くし、さらには、UC活用に必要なライセンスをすべて包含していることから、選択を迷うことなく、導入に要する時間を短縮できるという。また、投資対効果を明示できる、ROIツールも用意する。以上のように、「Avaya Unified Communications Editions」の投入は、UCアプリケーション導入へのハードルを下げることが狙いだ。

一方、「Avaya one-X Portal 1.0.1」は、Webブラウザをソフトフォンとして利用することができるツールで、ユーザーは場所を問わず、自宅の電話機や携帯電話を使用して会社のIP-PBXを通した音声通話が可能になる。同社によれば「ソフトフォンはこれまで、IT管理者がアプリケーションを個々のパソコンにインストールしていたが、シンクライアント型の『Avaya one-X Portal1.0.1』は、管理コストが削減できる」(橋村氏)という。これもUCの導入障壁をなくすための施策といえる。

Webブラウザをソフトフォン化できる「Avaya one-X Portal 1.0.1」

橋村氏は「UCはいまや、ビジネスそのものであると考えている。在宅勤務が徐々に増加しているなど、国内でもワークスタイルの変化は確実に起こっており、当社としては、コールセンター向け事業での実績を活かし、UCの市場を盛り上げていきたい。近い将来には、UCがIP電話市場を追い抜く」と語っている。