欧州連合(EU)域内の商標機関である欧州共同体商標意匠庁(OHIM)は、米Googleが申し出ていた「Gmail」の欧州共同体商標出願について、これを却下する裁定を2月26日に下したことを明らかにした。これは、昨年1月のOHIM異議部の判決を支持するものとなり、今後Googleが控訴するかが注目される。
OHIMは、EU27カ国で有効な商標を登録できる機関。Googleは、2004年4月に自社Webメールサービス名である「Gmail」の商標登録を同局に申し出ており、昨年1月にこれを却下されていた。今回で2度、つまづいたことになる。
理由は、ドイツの起業家Daniel Giersch氏がドイツで「G-mail」を商標登録しているため。Giersch氏は自分がCEOを勤める独P1 Privatで、gmail.deドメインを取得し、ファイル伝送サービスG-mailを提供している。2000年に「G-mail」をドイツで商標登録し、GoogleのOHIMにおける商標登録出願が公開された後の2005年2月、異議を申し立てた。「G-mail」の「G」は自身の姓のGierschを表すという。
OHIMでは、Googleの出願を却下した理由について、エレメント(アルファベット5文字)が同じであること、発音が似ており、コンセプトも似ていることから、消費者の混乱を招く見込みがあるとしている。これは、2007年1月に異議部が下した最初の判決を支持するものとなる。Googleは、ハイフンのあるなし(「G-mail」と「Gmail」)、色(「G-mail」は黒と黄色だが「Gmail」はそれ以外の色も使っている)、「G-mail」には「und die Post geht richtig ab」という文字も併せて登録されている点などを根拠に、混乱を招くことはないと申し立てていたが、これは認められなかった。
「G-mail」と「Gmail」を巡っては、2006年6月にドイツでGoogleが敗訴している。この結果、Googleはドイツでは「Gmail」の使用を認められず、「Google Mail」としている。Googleは同じ理由から、英国でも「Google Mail」としてサービスを提供している。Googleは「Gmail」の商標を世界約60カ国で取得しているという。
Googleは今回の裁定に対し、ルクセンブルグにある第一審裁判所に上訴することができる。