米Yahoo!は3月18日(現地時間)、今後3年間の同社の戦略プランをまとめた資料を公開した。それによれば、Yahoo!の成長スピードは現在の米金融街関係者の予測値を大幅に上回り、営業キャッシュフロー(OCF)が現状の19億ドルから2010年には37億ドルに、トラフィック獲得コストを除いた売上は88億ドルに達するという。この資料は今後開催される株主総会でのプレゼンテーションに用いられる予定で、現在Microsoftが提案しているYahoo!株1つあり31ドルでの買収提案をはね除ける狙いを持つ。

Yahoo!が公開した資料によれば、市場関係者が同社の売上増加幅を年率11~13%と予測しているのに対し、Yahoo!自身は増加幅が現状の11%から2009年以降は25%に拡大すると見積もっている。売上についても市場関係者の2010年に71億ドルという予測に対し、88億ドルという大幅増が期待できるという。同社がその根拠の1つとしているのが広告プラットフォームの利用拡大だ。現在広告主やパブリッシャー、サイト訪問者が各々ばらばらに構築している広告配信ネットワークをYahoo!という1つのプラットフォームを介することで、より簡単かつ低コストでターゲットを絞った配信が可能になり、プラットフォームの利用が促進することになるという。また競合とのシェアを比較すると、Webページや電子メールなどの利用では依然として業界トップのポジションにあり、特に日本や中国でのシェアの高さを強調している。今後はモバイルや中国以外の新興国でのビジネスの高成長も期待され、大幅な売上増達成を見込む。

Yahoo!では、こうした資料の株主への提供により「Microsoftの買収提案は不当にYahoo!の価値を見下すもの」という同社の主張を裏付けようとしている。一方で、この財政プランに対する不安材料もある。米国経済が今年からリセッション入りするのは確実な状況で、急成長を遂げてきたオンライン広告市場の拡大に急ブレーキがかかる可能性が出てきた。これはGoogleやMicrosoftなどのライバルも大きな影響を受けるものとみられ、いずれのベンダーも強気の成長予測が市場関係者を納得させられるかは微妙な情勢だ。さらにGoogleがDoubleClick買収を完了させたことで、既存広告の分野でYahoo!との競合がさらに強まる。Yahoo!が株主を説得するには、より強い材料の提供が必要となりそうだ。