日本HPは、ITIL v3のベストプラクティス集が組み込まれたITサービス管理ソフトウェア「HP Service Manager 7.0 software」を4月1日より発売すると発表した。この製品は、大手企業のヘルプデスクを主なターゲットにした製品。

日本HP 執行役員 HPソフトウェア事業統括本部長を務める西澤 均氏

説明会の冒頭で、日本HPの執行役員でHPソフトウェア事業統括本部長の西澤 均氏から、同社のソフトウェア事業に対する実績の説明が行われた。

それによると、2008年の第1四半期ソフトウェアの売上は6億6600万ドル(対前年比11%増)で、BTO(Business Technology Optimization)分野の売上に関しては前年比の19%増になるという。西澤氏は「第四半期以降の目標として、さらに拡充されたポートフォリオの確実な実行と人員の拡大、さらには最適なプロセスの構築とサポート、柔軟なリソース配分などにより、引き続き高い成果を生めるよう努力していく。また、これまでのITマネジメント分野に加えて、通信分野やインフォメーションマネジメント、ビジネスインテリジェンス分野への積極的な投資を行っていく予定だ」と語った。

HPでは経営のためのテクノロジーとして「B.T.(Business Technology)」という考え方を提唱している。このB.T.の実現に必要なのが、意思決定に必要な良質の情報を提供しビジネス情報の最適化を行う「BIO(Business Information Optimization)」、インフラストラクチャの徹底管理でITマネジメントの最適化を行う「BTO」、仮想化や自動化によりITコスト削減効果を生む「AI(Adaptive Infrastructure)」という3つのポートフォリオだ。今回発売される「HP Service Manager 7.0 software(以下、HP Service Manager)」はこの中のBTO分野の製品に位置付けられており、IT全体の戦略からサービスの設計や開発、運用までを最適化するITサービス管理ソフトウェアである。

HP Service Managerは、ナレッジ活用やワークフロー管理の「HP Service Desk」、サービスレベルの向上やリソースの均衡化に役立つ「HP ServiceCenter」という、これまで同社が提供してきたITサービス管理向けの2製品を統合したもので、企業のIT部門のヘルプデスクを想定している。

エンドユーザーから障害や購入依頼などのリクエストが寄せられると、定義したワークフローにしたがって処理が行われる。そしてこれらの情報は、CMDB(Content Management DataBase)に保存され、ナレッジ管理に役立てることができる。

今回発表された「HP Service Manager 7.0 software」の位置付け

従来提供してきたITサービス管理向けの2製品「HP Service Desk」と「HP ServiceCenter」を統合

ナレッジ管理では、過去にどのような解決策を講じてきたかなどを、専用のエンジンで検索できる。このエンジンは日本語の文節を自動的に認識、キーワードを抽出することで、精度の高い検索を実現している。また、PDF、Word、Excel、PowerPointなどの文書検索にも対応している。

ITILへの対応としては、ITILの管理プロセスがツール内に実装されている点や、ITILの運用していく上で最適なデータベーススキーマがあらかじめ定義されており、システム設計をゼロから構築する必要がないというのも大きな特徴だ。

他の管理ソフトウェアと連携し機能拡大

さらに、構成情報をはじめ多様な情報を一括管理できるデータ保管ソフトウェア「HP Universal CMDB」の基本モジュールが付属しているのもポイントだ。 Universal CMDBとは、監視系やユーザーのパフォーマンスを計る製品など、HPの他の製品と連携し、なおかつそれぞれのデータの一貫性を保持するためのDBだ。これにより、構成要素の自動検出、CMDBへの自動登録連携、変更におけるインパクト分析、変更ウィンドウの可視化、IT資産管理やサービスレベル管理との連携など、IT運用全体の自動化や最適化を図ることが可能となる。

必要な情報が瞬時に見つけられるナレッジベース検索

ワークフローがビジュアル的に分かりやすく表示可能

HP Service Managerの最初のターゲットとしては、大手企業のIT部門になるという。西澤氏は「例えば銀行のように、より重要性の高い業務を数多くのサーバがマネージしているようなケースで、私たちの提供するソリューションにより、保守の負担をかけず確実に品質を高めることができる」と語る。また、これまでHP Service DeskやHP ServiceCenterを利用してきた既存顧客を、いかにスムーズにマイグレーションしていくかも非常に重要な部分だという。施策としては、Opsware System選任営業チームとの連携による顧客への提案、パートナーの積極的な開拓および連携、コンサルティングサービスや教育を充実させた総合的なITサービスマネジメントソリューション展開などを予定しているようだ。

なお、製品の最小構成価格は298万9350円で、出荷開始時期は4月1日になる予定だ。