Google傘下のYouTubeが「YouTube Data API」をアップデートした。現在YouTubeでは、自由なビデオのアップロード、視聴、Webサイトへの組み込み、ユーザーコミュニティの参加などが可能だ。「しかし、われわれは十分にオープンなサービスを提供できていないと危惧していた」とYouTubeチームの製品管理担当のJim Patterson氏。そこで「YouTubeコンテンツをWebサイト、デスクトップアプリケーション、ビデオゲーム、モバイルデバイス、テレビ、カメラなどにインテグレートするパワフルな新手法を追加した」という。
まずJavaScript APIによって、YouTubeプレーヤーへのアクセスが可能になった。再生、停止、シークなど、プレーヤーをコントロールできるほか、プレーヤーの状態 (再生、バッファリング停止など)にも触れられる。また、それぞれのWebサイトにフィットするデザインにプレーヤーUIをカスタマイズできるクロムレスプレーヤー(chromeless player)の作成が可能だ。このほかFlashアプリ向けにFlash APIが用意されている。
ユーザーのYouTubeログインに、AuthSub (Webアプリケーション向けプロキシ認証)とClientLogin (インストールされたアプリケーション向け)の2つの認証方法を利用できるようになった。これによりサードパーティのWebサイトやアプリケーションから直接、ユーザーがYouTubeへビデオをアップロードしたり、ビデオメタデータ(タイトル、説明、レート、コメント、フェイバリットなど)の追加や編集を行える。また言語が異なる18ドメインへのアクセスがサポートされている。話題の動画や人気の動画など、各ドメインのフィードに対応できるほか、それぞれに最適化したカスタムクエリを実行できる。このほかJavaクライアントライブラリとPHPクライアントライブラリがアップデートされた。
「Spore」のクリーチャーをYouTubeで自慢
開発者やパートナーは、ビデオのアップロード・管理・検索に関してCRUD (Create、Read、Update、Delete)機能を実現するツールセットがもたらされたことで、YouTubeプラットフォームをトラフィック創出やブランドのアピールに利用できる。一方ユーザーは、今後より多様な方法でYouTubeコミュニティへ参加できるようになる。
YouTube Data APIのいくつかの利用例がGoogle Codeで公開されている。
Electronic ArtsとMaxisは、開発中のユニバース創造ゲーム「Spore」のコア機能であるCreature CreatorにYouTubeを統合する。プレイヤーのクリエイションのビデオをわずか2クリックでYouTubeアカウントにアップロードできるそうだ。Spore Creature Creatorはゲームでの提供よりも先にPC版がリリースされる。またElectronic Artsはクリエイションの展示の場として、Spore専門のYouTubeチャンネルを設けるそうだ。
ミュージックビデオ作成サービスのAnimotoは、同サービスで作成したビデオを直接YouTubeへアップロード可能にする。Animotoではビジネス展開に関するユーザーからの要望が多く、「YouTubeの統合は低コストのマーケティングチャンスにつながる」としている。
YouTubeで講義を公開しているUCバークレーは、これまでマニュアルで行ってきたビデオコンテンツのアップロード、プレイリスト作成、メタデータ生成などの作業を自動化する。管理の手間やコストが削減されることで、オンライン講義プログラムの拡張を図れる。
このほかDVRサービスのTiVoは、YouTubeアカウントへのログイン、ビデオ検索、レーティングやフラグ付け、共有などをTiVoから直接行えるようにする。SNSのFriendsterは同サービスのビデオページでYouTubeコンテンツを視聴できるようにするほか、そのまま共有やプロフィールへの追加を可能にする。