企業向けにモバイル接続ソリューションを提供する米iPassは12日、2007年度後期の世界における公衆無線LANの利用動向を発表した。それによると、2007年度後期も公衆無線LAN利用は大きな伸びを示し、特に欧州の成長が顕著であった。また、東京は前年同期比118%という成長を遂げ、都市別では世界第3位となった。

発表内容は、2007年度後期に世界の200万以上のセッションから集約した公衆無線LAN接続データによるもの。2007年前期に続き後期においても欧州の公衆無線LAN利用は速い成長を見せ、世界全体に占める利用割合は前年同期の31%から40%に拡大した。反対に、2位の米国が占めるシェアは59%から51%に低下した。3位のアジア・パシフィック地域の利用割合は世界全体の7%を占めるが、伸び率は前年同期比77%とラテンアメリカ(利用割合1%、伸び率同133%)を下回っていた。

都市別に見ると、東京は前年同期比118%と大きく利用が拡大。ニューヨークを抜いて世界第3位となった。世界で最も公衆無線LANが利用されている都市ロンドンは、前年同期比156%とさらに大きく利用を増やし、セッション数は2位のシンガポールの約2.8倍に上る。接続時間については、東京がロンドンの72分を越える77分となっている。

公衆無線LANが利用される場所では空港が最も多く、世界全体のセッション数の45%を占めている。2位のホテルが前年同期比141%と伸びを示し、この2つの合計は全体の3/4を越える。また、駅・列車内での利用は前年同期比217%と急激に伸びており、特に通勤に電車が必須となっているロンドン、東京でこの傾向が顕著だという。

日本国内で公衆無線LAN利用の多い場所は、1位、2位がそれぞれ成田空港、羽田空港となっている。同年前期には10位以内にランクインしていなかった品川インターシティが、JR東京駅を抜いて3位に登場した。世界的な傾向としては、空港に次いでホテルでの利用が多くなっているが、日本のランキングではホテルは入っていない。これは、各部屋に有線でLANを設置しているビジネスホテルが多いことが関係しているのではないかと推測される。

ちなみに、ランキング5位のマクドナルド武蔵中原店は、同年前期も5位に入っている「強豪」。同店は富士通川崎工場および富士通研究所の目の前だ。店舗に問い合わせてみると、客層は学生など様々だが比較的ビジネスマンが多いという話が聞けた。店内でPCを使用している人も多いとのことだが、具体的な数字は不明だ。

日本国内利用場所(2007年下半期トップ10)
07年下半期 07年上半期
1 成田空港 成田空港
2 羽田空港 国内線ターミナル 羽田空港
3 品川インターシティ JR東京駅
4 JR東京駅 東海道新幹線 JR仙台駅
5 マクドナルド武蔵中原店(川崎) マクドナルド武蔵中原店(川崎)
6 JR品川駅 東海道新幹線 大阪国際空港
7 JR仙台駅 2階びゅうプラザ ヒルトンホテル(大阪)
8 広島空港 JR大宮駅新幹線(埼玉)
9 大阪国際空港 ヒルトンホテル(成田空港)
10 JR名古屋駅 東海道新幹線 マクドナルド港南中央(横浜)
国別・公衆無線LAN利用率(トップ10)
国名 07年下半期 前年同期比
1 アメリカ 51% 60%
2 イギリス 13% 121%
3 ドイツ 10% 243%
4 スイス 4% 122%
5 オランダ 3% 106%
6 フランス 3% 233%
7 日本 2% 50%
8 オーストラリア 2% 190%
9 ベルギー 1% 137%
10 ブラジル 1% 259%
都市別・公衆無線LAN利用率(トップ10)
都市名 07年下半期 前年同期比
1 ロンドン 1.3% 156%
2 シンガポール 0.5% 72%
3 東京 0.4% 118%
4 ニューヨーク 0.4% 38%
5 シカゴ 0.3% 5%
6 ヒューストン 0.2% 21%
7 サンフランシスコ 0.2% 14%
8 ダラス 0.2% 10%
9 ミュンヘン 0.2% 90%
10 サンノゼ 0.2% 39%