日本ビジネスオブジェクツは、BI(Businesss Inteligence)プラットフォームの最新版となる「BusinessObjects XI 3.0」を発表した。クエリ/分析、ダッシュボード、レポーティング、検索などのBI機能や、BPM(Business Process Management : ビジネス工程管理)機能だけでなく、データ統合、データ品質管理といった機能も統合している。同社では「すべての人にあらゆる形式の情報を単一のプラットフォームで提供できる製品」としている。2008年第2四半期から出荷を開始する予定。

「BusinessObjects XI 3.0」は、対話型のインタフェースを採用。従来の主要なBIユーザでだったいわゆるパワーユーザだけでなく、経営層から営業要員まで幅広い階層の人々が使用することを想定している。

BI機能の中軸となる「クエリ&分析」では、高度なクエリ、レポーティング/分析機能を提供するツール「BusinessObjects Web Intelligence」が用意されている。容易な操作性を備え、直感的な情報分析ができるという。今回は変更箇所の追跡機能が付加され、過去に実行したレポートと、現在、実行した結果の差異(数量データの増減、追加、削除など)を表示色を変えるなどの方法で一目で確認することが可能になっている。また、今回初めてオンラインとオフライン両方のアクセスが実現した。ユーザは基本的に、どこにいても分析ができるようになったほか、ExcelやCSV形式のファイルを組み合わせ、1つのレポートに組み込める。

「BusinessObjects Web Intelligence」は、データの変更箇所の表示色を変えることにより、一目で確認できる機能を搭載

また事業活動の実際を指し示す多様な情報を明瞭に表示するダッシュボードでは、「Dashboard Builder」を採用。レイアウト機能と、Business Objects専用ツールのユニバースを基盤としたビジュアル化テンプレートが装備された。ダッシュボードの作成は、Ajaxを用いたユーザインタフェースにより対話性が改善された。そのほか、ワークフローがより簡潔になるなど容易化を図っている。また、データ変換ツール「Xcelsius Enterprise 2008」では、ダッシュボード作成機能を搭載しているとともに、データ管理などを担うサーバ製品「Adobe LifeCycle Data Services」との連携でデータのプッシュ機能に対応し、リアルタイムのデータが反映される。

レポーティングを担う「Crystal Reports」は、Flashファイルとの統合機能を搭載し表現力をいっそう高めている。操作環境は対話型で、パラメータ/フィルタ機能では「パラメータパネル」と呼ぶ入力インタフェースが画面に表示され、パラメータの変更ができるなど、レポート作成のための作業を容易にしている。またクロスタブ機能により、集計、差異、そのほかの計算も表中の行や列に挿入でき、財務レポートなどを作成しやすくしている。

さらに今回加わった新たな機能に「BI Widgets」がある。エンドユーザ各自のデスクトップ上に直接、「BusinessObjects Web Intelligence」や「Xcelsius」などのデータを配信することができる。ユーザは複数のリポジトリを検索して、KPI(key performance indicator:重要業績達成指標)など必要なデータを見つけ出し、そのままデスクトップで閲覧することが可能になる。いわばデスクトップ画面がダッシュボード代わりになる。

「BI Widgets」は、ユーザのデスクトップ上で直接「BusinessObjects Web Intelligence」などのデータを閲覧できる機能を提供

検索の面では「BusinessObjects Polestar」により、インターネット上で一般的に使用される検索エンジンとほぼ同じ使い勝手となっている。基本的にキーワード入力だけで、企業の経営にまつわる情報を検索することができる。検索結果とともに関連する情報も表示できる。さらに本来のBI機能との融合で、それらの情報をわかりやすくするチャートなどを自動作成する。

場所を選ばない利用環境の実現に向け、モバイル機能も強化している。たとえばアラート機能では、新規のレポートがスケジューリングされた場合や、レポートに何らかの変更があれば、ユーザに通知されるようになっている。BlackBerryやWindows Mobile、Symbian OS、そのほかJ2ME2.0準拠の機器に対応しており、モバイルデバイスから直接、アラートの種類を定義することもできる。

運用/管理の点では、「BusinessObjects Enterprise BI Federation」と呼ぶ新機能が追加された。これは「BusinessObjectsXI3.0」の構成要素である、各機能を担うそれぞれのBIシステムのBIコンテンツどうしを連携させることができる機能で、「複数の拠点で、BusinessObjects製品を使用している場合、セキュリティの設定を一括して実行する」(同社プロダクトマーケティング スペシャリストのコラーナ・インダルディープ・シング氏)ことなどが可能になるという。

今回の製品は、同社と独SAPとの経営統合を踏まえ、SAP製品との連携を強めており、SAP Business Information Warehouse(BW)のメタデータ/プロンプトデータのサポート拡張やレポジトリ連携による、SAP Portalの統合といった施策が打ち出されている。

同社の印藤公洋社長は「国内企業では、個別のBIツールをバラバラに導入している例がみられる。今回の製品は、ビジネスアプリケーションのデータから、手作りシステムのデータ、非構造化データ、さらには、外部から入手する、企業の与信情報などに至るすべての情報を単一のプラットフォームで使いこなせるようにすることができる」と説明するとともに「統合化された環境の下で、すべての機能が有機的に動くとの点で、当社の製品は、競合に対し最低でも5年は技術的なアドバンテージを保っている」と話した。

日本ビジネスオブジェクツの印藤公洋社長