独SAPは3月10日(米国時間)、ITサービスのサービス事業者を対象に行ったスタッフのスキル、才能管理に関する調査結果を発表した。4人に3人が「スキル管理は売上げに影響を与える」としながらも、対策が十分にとれていない実態が分かった。サービス事業者は、最大の資産である人材管理をもっと重要視すべき、とアドバイスしている。

この調査はITサービス、法律事務所、税アドバイザー、戦略コンサルティングなど、さまざまな分野のサービス事業者250社以上を対象に、従業員の才能やスキルの管理について聞いたもの。調査した企業はすべて米国企業で、実際の調査は業界団体のTechnology Professional Services Association(TPSA)が行った。

それによると、75%が「才能、スキル管理が十分に行われていない場合、売上げと顧客満足度に影響を与える」と回答したが、「サービス、パフォーマンスを利用して才能、スキルにおける戦略を立案している」と回答したのは20%にとどまった。「自社の才能、スキル、プロセスは標準的あるいは初歩レベル」と回答したのは78%で、80%もの回答者が「才能・スキル管理、事業開発、リソース管理が統合されていない」と述べた。

このように、サービス事業者の多くがスタッフのスキルと才能を管理することの重要性を認識しながらも、実際の対策がとられておらず、投資が十分ではないことが分かった。また、資産としての人材管理への戦略的フォーカスとITインフラとが統合されていない、とも指摘している。

このほか、調査では50%が「才能管理で最優先すべきは採用、引継ぎ、トレーニング、維持などの基本的な分野」と回答している。

このような結果を受けTPSAの執行ディレクターは、サービス事業者は通常、事業が直面した課題を優先しており、スキルや才能に関する戦略は後回しにされていると指摘しながら、「サービスビジネス分野が成長するためには、才能やスキル管理をバリューチェーンとして確立すべき」と述べている。

調査では、景気減速によりリソースを削減する傾向にある中、才能やスキルの管理をITの最優先事項にすべきだ、とアドバイスしている。