ベンチャー企業の英ThruVisionは7日(現地時間)、監視カメラ「T5000 Security Imaging System」を発表した。テラハルツ波を利用したセキュリティイメージング技術により、衣類に覆われた麻薬や爆発物を検出できるという。衣類を通過して表示できる監視カメラは、商用では同製品が初という。
T5000は同社が開発したイメージング技術を利用しており、通常のX線スキャンや金属検出システムを上回るレベルでの運用が可能。約25m離れたところから、服の中に隠れている爆発物、液体、麻薬、武器、プラスティック、セラミックなど、金属とそれ以外の物質を表示できる。
この技術を支えているのは、テラハルツ波(T線)。T線は無害な電磁放射線で、岩石、植物、動物、人間などが発する物質の特性を検出できる上、煙、服などの固体物質、場合によっては壁なども通過できるという。
T5000は、物体が発するT線を収集し、これを処理して、人体を表示することなく爆発物などの画像を形成できる。安全性が高く、現在セキュリティチェックで用いられているX線のように、人体に危害を与える心配はないという。静止した状態、動いている状態の両方に対応するのも特徴だ。
装置は小型で携帯可能、容易に利用できるという。空港や駅などの施設のほか、スポーツ競技場など野外施設にも適しているという。
ThruVisionは、英科学技術施設研究会議(Science and Technology Facilities Council)のラボであるRutherford Appleton Laboratory(RAL)の研究プロジェクトがスピンアウトしてできたベンチャー企業。今回のテラハルツ波を利用したスキャン技術は、欧州宇宙機関(ESA)とのコラボレーションにより開発した。T線は、天体観測者が観測に利用する技術で、塵や雲などにさえぎられることなく宇宙を観測できるといわれている。
ThuVisionでは、T5000を利用することで、テロ対策などのセキュリティ検査が飛躍的に改善できるとしている。