ベリングポイントは10日、企業における経理・財務部門の成熟度調査の結果を発表した。

調査は日本CFO協会の協力の下、2008年1月に実施。無作為に抽出した上場企業500社の財務担当役員宛てに調査票を送付し、約13%にあたる64社から得られたた有効回答をもとに分析が行われた。回答企業の内訳は、製造業69%、卸売業14%、サービス業12%、小売業3%、その他2%。年商別では、5,000億円以下36%、1,000億円以下25%、1兆円以上23%、1兆円以下16%。

調査の結果、財務報告に関わる内部統制の整備について約60%の企業が文書化作業を完了していると回答。一方、国際財務報告基準(IFRSs)とのコンバージェンス(収斂)における日本の会計基準変更への対応は、2008年度の対応についてもいまだ約70%の企業が未完了であるとし、対応の遅れが目立つ結果となった。 また、シェアードサービスセンターへの集約やアウトソーシング化など会計周辺業務の標準化/効率化では、90%以上の企業が「進んでいない」と答えている。

予算管理では、連結ベースの予算管理や非財務的指標の管理項目への追加など高度な経営管理体制の構築が進む一方で、ITを用いた情報システム化による経営管理体制の効率化の達成までには至らない状況が明らかになった。さらに、原価管理、収益管理においては、特に連結売上高が1兆円以上クラスの企業において連結ベースでの製品/顧客別の十分な管理・分析がなされていない結果となった。

経営管理関連では、予算値と実績値に基づいた過去ベースの業績予測に関しては、約90%の企業がすでに実施。これに対して、非財務的な先行指標をもとにした業績予測を行っている企業はわずか約5%に留まり、先行指標の変動から導出される課題に対して、早期に対策を実施できる予防的管理体制への変革が求められる結果となった。

今回の調査結果について、同社ワールドクラス・ファイナンスチーム・マネージング ディレクターの川野克典氏は「経営者は、日本版SOX法や一連の会計基準の変更を単なる経理・財務部門の問題と捉えるのではなく、経営を行う上での基本的ルールの変更であると認識する必要がある。経営者が先頭に立って、経理・財務部門を集計屋から戦略参謀に変革できなければ、経営者自身が市場からの厳しい評価を受けることになるだろう」とコメントしている。