SAPジャパンは6日、基幹業務ソフトウェア「SAP ERP 6.0」の機能を拡張するエンハンスメントパッケージの第3弾を、2008年第2四半期より提供開始すると発表した。同社によれば、「少なくとも2013年までは、SAP ERP 6.0の機能拡張はエンハンスメントパッケージによって累積的に行われることが決定している」(同社カスタマーイノベーションセンター ビジネスアプリケーション マネージャ 松村浩史氏)という。従来のような、"全取り替え型"のアップグレードではなく、顧客のニーズにあった機能だけを随時追加していくというリリース方針は、アップグレードのたびに必要だった"大がかりな変更&コスト"を不要にするソリューションとして注目されそうだ。
SAPは2007年4月に「mySAP ERP 2005」および「SAP ERP 2005」を「SAP ERP 6.0」に改称し、以降、2回の機能拡張をエンハンスメントパッケージの提供によって行ってきた。今回発表された第3弾は、第1弾および第2弾のパッケージ内容がすべて含まれるほか、1,400種類以上の選択可能な新機能(ビジネスファンクション)や、50種類以上のエンタープライズサービスバンドル(グループ化されたサービスインタフェース)、ユーザインタフェースなどで構成される。
エンハンスメントパッケージによる機能拡張の特徴は、業界共通のコアとなるERP部分と、業界ごとに特化した部分について、ユーザ側が"必要な機能(ビジネスファンクション)を任意に選択"できるところにある。たとえば、ERP部分の「人材管理におけるリクルーティング機能(eリクルーティング)」と、石油業界の「リモートロジスティクス管理(RLM)機能の拡張」を選んでインストールし、利用したい時期に機能を有効化(スイッチフレームワーク)する、といったことが可能になる。従来までのソフトウェアアップグレードと異なり、事業状況や規模に合わせてシステムを拡張でき、また、小規模で軽い作業/テストで済むところもメリットだ。当然ながら、エンハンスメントパッケージによる機能拡張では、ベースとなるSAP NetWeaverプラットフォームの機能には影響が及ばない。
同社は「今後はCRMやPLM、SCMなどにもこの拡張方式を採り入れていきたい」(松村氏)としており、エンハンスメントパッケージによる効率的なプラットフォームの拡張がビジネスアプリケーション上で実現していくことで、同社が目標とする「エンタープライズSOA」の促進を図っていきたいものとしている。