米Forbesは3月5日(現地時間)、世界の富豪ランキングを決める「The World's Billionaires」の最新版を発表した。これまで同ランキングは米Microsoft会長を務めているBill Gates氏が長きにわたってトップの座を堅持してきたが、2008年のランキングでは同氏に代わって資産家のWarren Buffett氏がトップの座に就いた。Gates氏は3位に後退、2位の座に就いたのはメキシコの大富豪として知られるCarlos Slim氏。Slim氏は2007年夏頃、保有株の価格上昇からその総資産がGates氏を上回った可能性を指摘されていた人物だ。なお、Gates氏はこれまで13年連続同ランキングのトップに君臨しており、トップの入れ替えは14年ぶりのこと。
今回トップとなったBuffett氏は投資家として世界的に広く知られている。自身の持ち株会社Berkshire Hathawayを駆使し、投資事業を拡大している。近年、ランキングトップの座をGates氏と常に争ってきた常連でもある。同氏の推定資産は620億ドルとみられ、前年から100億ドルの上昇。Berkshire Hathawayは投資成績の優秀さから不況下においても株価上昇が続いており、これが資産の大幅上昇につながった一因とみられる。Buffett氏はGates氏とも親交が深く、どちらも慈善事業に熱心なことで共通点がある。現在Buffett氏は77歳と本来であればリタイアしている年齢に達しており、2月末にはBerkshire Hathawayの後継者選びに入ったことが報じられている。また同氏の死後は、その遺産の多くをビル アンド メリンダ ゲイツ財団(Bill & Melinda Gates Foundation)に寄付する方針であるとも伝えられている。
Gates氏の2008年ランキングでの資産は580億ドルで、前年比20億ドルの上昇。Forbesによれば、今回のランキングの集計データを採ったのは2月11日。折しもMicrosoftは2月初旬にYahoo!に対してキャッシュと株式による買収提案を行ったばかりであり、同社株価は1月31日時点と比較して15%も大幅下落している。これが総資産の構成に影響を与えたものとみられる。また、Gates氏の資産の半分以上はMicrosoft株以外のもので構成されている。
今回2位になったCarlos Slim氏はメキシコの大富豪として知られる人物で、メキシコの国営企業だった「Telefonos de Mexico(Telmex)」の買収と価値上昇で資産を築いた。現在はTelmexの会長を務めるほか、中南米諸国の通信企業を傘下に収めており、ラテンアメリカの通信王として君臨している。通信事業ほか、同ラテン諸国での小売り事業なども熱心に展開している。つい先日、米国内での全店舗閉鎖が話題となった小売りチェーン「CompUSA」のオーナーでもあった。総資産は600億ドルで、前年比110億ドルの上昇。近年、メキシコを含む新興国での株価が急上昇しており、これが同氏の資産を大幅に押し上げた原因だ。このように、今回のSlim氏のようにランキングで突出する新興国の資産家が急増しており、5位にランクしたMukesh Ambaniや、同氏の弟で6位のAnil Ambani氏などは、インドを拠点とする資産家である。特にAnil Ambani氏は1年間での資産上昇額が238億ドルであり、これはランキング中トップである。
IT業界の著名人をランキングで探していくと、米Oracle CEOのLarry Ellison氏が250億ドルで14位、米Googleの共同創業者であるSergey Brin氏とLarry Page氏がそれぞれ32位(187億ドル)と33位(186億ドル)、米DellのMichael Dell氏が164億ドルで40位、米Microsoftの共同創業者の1人で投資家のPaul Allen氏が160億ドルで41位、米Microsoft CEOのSteve Ballmer氏が150億ドルで43位となっている。あとは109位のRupert Murdoch氏(News Corp.)や110位のJeff Bezos氏(Amazon.com)など。