富士通研究所と独ハインリッヒ・ヘルツ研究所は、非線形光ファイバーを用いた超高速光スイッチにより、光伝送の際に品質劣化の原因となる光雑音(光増幅器を用いて増幅する際に発生する雑音)を低減する技術を開発したと発表した。
今回開発した技術は、ピコ秒(1兆分の1秒)以下での光信号処理が可能な超高速光スイッチの技術を応用したもので、光信号に与えられる光パラメトリック増幅効果の増幅率を、光のパワーが低い場合には大きく、パワーが高い場合には小さくなるように制御することにより、光雑音の発生を低減し、伝送距離を約2倍に拡張することが可能であるという。
光信号は高速、大容量になるほど、光増幅器から発生する光雑音の影響を受けやすく、伝送距離が厳しく制限される。従来は、光増幅技術により光信号のパワーを増やすことに加え、光信号を電気信号に変換してから光雑音の影響を取り除き、再び光信号に変換する方法により対処してきたが、今回この技術を用いた超高速光スイッチを伝送路の中間に設置することによって、107Gbpsで320kmのデータ伝送後にも、伝送前のデータ特性をほぼそのまま再現することに成功したという。
この技術は、従来の光伝送で用いられている波長帯はもとより、より広い波長帯をカバーし、多様な光変調方式の光信号に適用が可能で、同社では次世代の光ネットワークの重要な要素技術の1つに位置づける考えだ。