総務省はこのほど、受信者の同意を得ていない広告・宣伝メールを全面禁止するとともに、現在"野放し"状態となっている海外発の迷惑メールも規制の対象とするとした、迷惑メール防止法改正案を国会に提出した。
迷惑メール防止法の正式名称は、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」。同法では、受信者の同意を得ていない広告・宣伝メールを送信する場合、「※未承諾広告」の表示を義務付けている。だが、受信者が再送信を拒否しない限り、同メールを送り続けることができるため、違反により改善命令が出されたのは同法施行後たった5件と、制度の形骸化が指摘されている。
また、2007年上半期のパソコンあて迷惑メールにおいて「海外発」の占める割合が94.5%となるなど、被害が深刻化しているが、現在の法律では、海外発の迷惑メールは明確に同法の対象となっていない。
改正案では、こうした点を考慮し、受信者の同意を得ていない広告・宣伝メールを全面的に禁止。また、送信に一度同意した受信者でも、あらためて受信拒否の通知を受けたときは、以後送信してはならないとしている。
さらに、海外発迷惑メールに関しては、迷惑メール対策を行う各国当局に対し、情報提供を求めることができるようにするほか、海外発迷惑メールを明確に規制の対象とする。
法の実効性の強化策としては、送信者情報を偽った電子メールの送信に対し、電気通信事業者がメール送信を拒否できるようにするほか、送信を依頼した「送信委託者」を立ち入り検査の対象とする。
また、違反した事業者に対しては、罰金額を現在の100万円以下から、3,000万円以下に引き上げるとしている。
迷惑メール対策を担当する総務省 総合通信基盤局 消費者行政課 専門職 大磯一氏は「海外発の迷惑メールの防止に関しては、海外当局との協力関係がキーポイントとなるため、改正案の成立、施行後は、それぞれの国の実情に応じて協力を求めていきたい。また、実効性を強化するための規定も多く盛り込んでおり、法が適切に適用されるようになると考えている」と話している。