デルは28日、日本国内におけるストレージ事業戦略についての説明会を開催した。

デルの米国本社であるDellは今年(2008年)1月、iSCSIストレージ機器ベンダである米EqualLogic(日本法人はイコールロジック)の買収を完了。新たに「Dell Equallogic」ブランドを立ち上げ、2月からは日本を含む世界の各拠点において旧EqualLogicの製品の提供を開始した。今回の説明会は、これを受けて行われたものである。

Dellには「PowerVault」、米EMCと共同で開発する「Dell|EMC」というストレージ機器のブランドがある。

今回、ここにiSCSIストレージ機器の「Dell Equallogic」ブランドが加わったことについて、デルの中島耕一郎氏は「日本で展開できる事業の幅、スピード、オファリングの質、すべてが新しい次元に踏み出せる。デルは今後、iSCSI革命をリードしていく」とストレージ事業の拡大に強い意欲を見せる。

デルエンタープライズ マーケティング本部の本部長である中島耕一郎氏

各ブランドを詳しく見ると、エントリ向けのiSCSI製品「PowerVault MD3000iシリーズ」、エントリ向けのFibre Channel製品「Dell|EMC AXシリーズ」、エンタープライズ向けのFibre Channel製品「Dell|EMC CXシリーズ」がある。新たに投入した「Dell Equallogic」により、これまで空白となっていたエンタープライズ向けのiSCSI製品をカバーすることになるという。

デルの矢部聖一氏は、これら3つのブランドについて「iSCSIとFibre Channelストレージは競合するものではなく、両輪で進んでいくもの。今回の買収により片輪から両輪となり、ポートフォリオを大きく広げて製品を提供できる。仮想化の領域にも両輪で取り組んでいく。Dell Equallogicは、使いやすさを目指した製品であり、Dell|EMCはパフォーマンスと技術を提供できる製品」と位置付ける。

デルエンタープライズマーケティング本部のストレージブランドマネージャーである矢部聖一氏

また新ブランド「Dell Equallogic」からは、「Dell Equallogic PS5000シリーズ」として3製品7モデルを用意した。これらの新製品について、同社の秋山将人氏は「SATAの7200RPM、SASの10000RPM、SASの15000RPMの3種類のなかから選択し、そこから容量を選択できるシンプルなモデル構成とした。そのほか、必要な機能をすべて標準搭載し、追加費用が発生しない価格体系とするなど、あらゆる点でデルが目指す"シンプル化"を追求している点が特徴」とする。

デルイコールロジック営業本部の本部長である秋山将人氏

新製品は、あらかじめiSCSIに最適化したチューニングを施した状態の"iSCSI専用ストレージ"として提供されることから、Fibre Channelと同等以上の性能が出せるという。スナップショット、クローン、レプリケーションはもちろん、仮想化機能や自動最適化機能も標準で搭載している。そのため、ストレージのストレージの導入、追加、入れ替えなどは、仮想化機能によってシステムが稼動したままの状態で行える。このとき、自動最適化機能により、ストレージ側で自動的にパフォーマンスチューニングを行う。これらの機能により、運用コストを削減できるという。

新製品のDell Directでの最小構成価格は、SATA 7200RPMの「Dell Equallogic PS5000E」が781万2,900円、SAS 10000RPMの「(同) PS5000X」が1,331万2,900円、SAS 15000RPPMの「(同) PS5000XV」が1,089万2900円。

なお、これまでEqualLogicでは100%間接販売の体制をとっていた。しかし直販中心のDellに買収されたことにより、従来の間接販売に加えてDellによる直販も行う。「Dell Equallogicブランドのストレージは、iSCSIという標準技術の上で製品化されており、デル向けのサーバだけでなく、他社のWindowsサーバやLinuxサーバでも稼働する。そうした需要に対しては、イコールロジックのパートナーを通じて販売していくことになる。統合によって、デルがもっているリレーションを活用できることになり、さらに幅広い領域でイコールロジック製品の展開が可能になる」(秋山氏)としている。

なお、契約期間が限定されている「DELL|EMC」ブランドの展開については、「イコールロジックの買収によって大きな変化があるものではない。将来的に延長するのか、しないのかということはどちらともいえないが、DELL|EMCによってデル自身ではオファーできない製品を用意しており、提供していくメリットがある。急にやめるということはなく、需要がある限り、何かしらの協業は進めていく」(中島氏)としたほか、「DELL|EMCブランドのiSCSI製品も継続的に提供していく」と語った。