レッドハットは、オープンソースベースのSOAミドルウェア製品「JBoss Enterprise SOA Platform」を発表した。アプリケーションサーバ「JBoss Enterprise Application Platform」上に、エンタープライズサービスバス「JBoss ESB」、ビジネスプロセスマネジメント「JBOss jBPM」、ビジネスルール/マネジメント「JBoss Rules」を組み合わせ、SOAによる業務システム構築のための基盤ミドルウェア製品として提供するもの。出荷開始は3月上旬の予定。ライセンスは無償で、テクニカルサポート、製品アップグレード、修正プログラムの提供を含むサブスクリプション価格は年額210万6,000円(税別)から。
2月4日に就任したばかりの同社の代表取締役社長の廣川裕司氏は、従来の既存のSOAソリューションの問題点として「各社独自仕様でブラックボックス化されており、繋がらない、高い」と指摘した。同氏によれば、従来のSOAソリューションは「役員会での意志決定が必要になるレベルの価格であり、現場の判断で簡単に導入するわけにはいかない」ものだったという。それに対し同社のSOA Platformは「びっくりするほど安価で、小さく始めることも可能」(同)だとし、"SOA"を言い換えて、"Simple、Open、Affordable"だと表現した。
また、ワールドワイドでの同社の事業戦略について、中期的な目標として今後3年以内に現在の5億ドル規模の売り上げを10億ドル規模にすることや、事業の主軸をLinux OS+ミドルウェアに据え、サブスクリプションモデルで展開することなどを紹介した。同氏は日本国内でのJBoss/ミドルウェア事業の目標も公表し、「JBoss事業推進本部を3月1日付けで社長直轄で発足する」「担当人員を20名規模まで倍増する」「今後1年で販売/構築パートナーを現在の5社から20社に増やす」といった施策により、現在50社のJBossユーザー企業数を1年間で500社へと10倍に成長させるとした。なお、ワールドワイドでの事業目標は、2015年にワークロードベースでJBossのシェアを50%にすることが掲げられているという。
続いて登壇した同社の製品部長の中井 雅也氏は、JBoss Enterprise SOA Platformの製品概要について紹介した。
JBoss Enterprise SOA Platformは「SOA実現のためにシステム連携(ESB)、ビジネス・プロセス管理(BPM)、ルールエンジン(Rules)の各フレームワークと高性能アプリケーションサーバ(JBoss)を統合したスイート製品」だ。同氏はJBossの製品マッピングを基幹系 - 情報系、インターネット - エンタープライズの4象限に分割し、製品の発展がインターネット/情報系のJBoss Application Serverコミュニティ版からインターネット/基幹系のJBoss Enterprise Application Platform、エンタープライズ/情報系のJBoss Enterprise Portal Platform、エンタープライズ/基幹系のJBoss Enterprise SOA Platformという順に"N"字型に進んできたという。そして、ユーザー数が最も多いのがインターネット/情報系の部分で、ここをJBoss Application Serverコミュニティ版でおさえており、ここを起点に他の象限に発展させられる点が同社の強みだとした。
最後に補足説明を行なった同社のマーケティング・パートナービジネス本部長の纐纈昌嗣氏は、オープンソース企業がSOAを手がけることの意義について、かつてのネットワークプロトコルの標準化争いを例に挙げ、「仕様が決まっていたとしても、異なる企業間で相互接続性を確立するのは困難で、結局は実装のソースコードを公開したTCP/IPが標準として残った。同様に、相互接続性が重要となるSOAでもソースコードが公開されているオープンソースが有利となる」とした。
また、OS(Linux)からミドルウェアまでカバーすることで、同社製品で既存の商用製品にによる基盤ソフトウェア層のほぼすべてを置き換えられるようになったことで、ワンストップサービスを望むユーザーの声にも対応しやすくなったとした。