米フロリダ州オーランドで開催中されているヘルスケア情報管理のカンファレンスHIMSS (Healthcare Information and Management Systems Society) 08で、Google CEOのEric Schmidt氏が基調講演を行い、開発中のGoogle Healthの詳細およびヘルスサービス戦略を説明した。
Google Healthは、ユーザーがそれぞれの健康・医療情報を一元管理できるWebサービスだ。現在Cleveland Clinicと提携したパイロット版の試験運用が行われている。昨年10月にMicrosoftがHealthVaultを発表するなど、PHR (Personal Health Record)をオンラインで管理するというアイディアは新しいものではないが、Googleは「プラットフォーム」「データポータビリティ」「プライバシー保護」などの面でGoogleの持ち味を生かしたサービスを提供できるとしている。
Google Healthはサードパーティのサービスとの相互運用が可能なプラットフォームとなっている。現時点では、診察や処方、検査結果の履歴などが、自動的に対応する医療機関からインポートされ、ユーザーはGoogle Healthを通じてアクセス・管理できる。将来的には対応ツールを拡充し、サードパーティのサービスとの連携を高め、診察の予約やスケジュール管理、薬の補給など、医療・ヘルスに関する様々なサービスをGoogle Healthから利用できるようにする。
Googleの他のサービス同様、Webベースのサービスであるため、Google Healthでは最新のデータにいつでもどこからでもアクセスできる。例えば、これまでは遠方に引っ越すたびに、過去に診察や検査などを受けた医療機関から発行してもらった健康情報をまとめて移動先の医療機関に提出する必要があった。Google Healthでは、各医療機関からデータをインポートし、それを共有するだけで対応できるため、迅速かつ手軽で正確な情報伝達が可能になる。
プライバシー保護に関しては、医療・ヘルス分野の専門家で構成されるGoogle Health Advisory Councilを設けて、プライバシーポリシーとその実践方法を開発している。また他のGoogleのサービス同様にユーザーに完全なコントロールを与え、ユーザーからの許可を得ない限り、データの利用や共有は行わない。
Googleは医療分野のエキスパートではないが、「ヘルス情報を分かりやすく、簡単に管理できる、クリーンで使い勝手の良いユーザー体験を作り出せる」とSearch & User Products担当VPのMarissa Mayerは述べる。数ヶ月中のサービス公開を計画している模様だが、早い段階にサービスをローンチさせ修正・改善を繰り返していく同社の"launch early and iterate"戦略の中でもGoogle Healthはまだ初期段階に過ぎないとしている。医療分野はWeb対応が遅れている分野の1つと言われており、医療機関側の対応を促すのも今後の課題となる。