米Pando Networksは2月27日 (現地時間)、同社の動画配信サービスをNBC Universalが採用することを発表した。PandoはP2P技術を組み合わせて効率的に高品質な動画を配信するプラットフォームを構築している。NBC.comのDigital Development担当シニアバイスプレジデントであるSteve Andrade氏は「米国のメジャーなTVネットワークで初めて、数百万の視聴者にDVD品質の番組をダウンロード提供する」とアピールする。
オンライン動画配信では、配信するビデオが高画質になるほどに配信コストがかかる。例えば米国では米AppleがiTunes Storeでビデオレンタルサービスを行っているが、SD解像度の新作が3.99ドルであるのに対して、HD解像度の新作は4.99ドルだ。そのためNBC.comのように広告べースの無料動画配信を考えている場合、高画質なサービスにするほど収益が悪化する可能性がある。そこで検討され始めたのがP2P技術だ。大きなデータに大勢がアクセスしても、P2Pでは利用者数が増えれば増えるほど配信パフォーマンスが向上するため、コストを抑えながら配信品質を維持できる。Pandoの配信サービスは、既存のHTTPベースのコンテンツ配信ネットワークにP2Pを組み合わせたスケーラブルな配信ソリューションだ。中央のコントロールサーバがインテリジェントにユーザーの利用状況を管理し、ダウンロード数が増えると、自動的にコンテンツ配信ネットワークサーバからの配信をP2Pベースの配信に切り替える。
NBCは、NBC.comのテレビ番組配信サービス「NBC Direct」でPandoを利用し、エピソード全編をWindows PCにダウンロードできるようにする。ユーザーが視聴したい番組を指定しておくと自動的にダウンロードされる機能も設けるそうだ。NBCはまた、著作権保護をPando採用の理由に挙げている。hashマッチング、デジタル指紋および透かし技術、エンドツーエンドの暗号化など複数のコンテンツ保護技術を利用できるほか、主要なDRMプラットフォームをサポートするという。