ベルギーのブリュッセルに本拠を置く欧州委員会(EC)は27日(現地時間)、米Microsoftに対して8億9,900万ユーロ(約13億5,000万ドル)の課徴金を科す決定を下した。これは2007年10月22日に発表されたECとMicrosoftとの間で取り交わされた合意に基づくもの。追徴金を含む過去2回の罰金額と合わせると、合計額は約16億8,000万ユーロ(約24億9,000万ドル)にも上ることになる。
これは、2004年にECがMicrosoftに対してOS市場の独占的立場を利用してライバルに不利な競争を強いているとして、Windows Serverに関する互換性情報開示を求めていた事案に遡る。この時点で4億9,700万ユーロ(約7億5,000万ドル)の罰金が科されており、さらに2006年7月には命令に対する対応が不十分として2億8,050万ユーロ(約4億2000万ドル)の追徴金が追加されている。2007年10月にMicrosoftがEC側の要求を呑んだことで、最終的な罰金額に注目が集まっていた。
ECが同日出した声明の中で欧州競争委員長(European Competition Commissioner)のNeelie Kroes氏は「MicrosoftはEUの50年にわたる競合ポリシーの中で、独占禁止法に基づく裁定に従わなかった初の企業だ」という見解を表明している。2004年の裁定における競合他社への互換性情報開示対応の中で、当初Microsoftは知的財産(IP)のライセンス費用を製品売上の3.87%、互換性情報へのアクセス費用を2.98%とすることを求めていたが、ECではこれを「Unreasonable Pricing(理由なき値付け)」として却下している。その後、2度の交渉を経て、最終的にライセンス費用を0.4%、互換性情報へのアクセスを一律1万ユーロ(約1億5,000万ドル)とすることに同意した。
Microsoftは2月21日(現地時間)、自社の主要製品のオープン性を高め、他社や独立系開発者などがWindows/Officeファミリーとより相互互換性の高い製品をリリースできる仕組みの構築を目指し、3万ページ以上のドキュメントをMSDNを通じて公開することを表明している。オープンソースコミュニティなどからは、いまだなお情報開示が不十分との指摘があるものの、ECとの確執を経てより踏み込んだ領域での情報開示に対してMicrosoftが歩みつつあるようだ。