欧州委員会のチャーリー・マクリーヴィ委員 (域内市場・サービス担当) はベルギー時間の14日、演奏家に与えている著作権保護期間を、現在の50年から95年に延長するよう委員会に提案することを発表した。2008年夏の休会までに、採択の準備が完了する見込み。

EUにおける作曲家の著作権保護期間は死後70年だが、演奏家は録音から50年に設定されている。欧州委員会の調査によれば、欧州の演奏家や歌手は20歳代前半にそのキャリアをスタートすることが多く、セッションミュージシャンは17歳からプロとして活動することもしばしばだという。男性が75歳、女性が81歳というEU域内の平均年齢を考慮すると、保護期間が50年のままでは、演奏家が80歳や90歳という年齢を迎えたとき生活に困窮する可能性も考えられる。

マクリーヴィ委員は、1950年代後半から60年代にかけて演奏を録音したセッションミュージシャンが、このままでは向こう10年で収入源を失うと主張する。「クリフ・リチャードやシャルル・アズナブールのような主演アーティストのことではない。50年代後半から60年代にかけてレコーディングに参加した、名もなきセッションミュージシャンのことを言っているのだ」(マクリーヴィ委員)。

またマクリーヴィ委員は、演奏家が保護期間の延長による恩恵を受けられるよう、レコード会社が基金を設立することも提案。延長された保護期間に生じたロイヤリティーの20%以上をプールし、演奏家に分配する仕組みについて説明した。また、レコード会社側が延長期間中の再販を望まなかった場合、演奏家は他のレーベルに移ることを認める条項を盛り込む、としている。