SAS Institute Japanは6日、SAS Customer Intelligence Suiteの機能を強化、出荷を開始すると発表した。

同社では、2008年に注力していく分野のひとつにCRMを位置づけており、今回の製品は、CRM分野における中核的製品となる。すでに全世界120社で導入されており、日本でも横浜銀行、KDDIなど数社が導入しているという。

"顧客中心型ビジネスモデル"を実現するSAS Customer Intelligence Suite

SAS Institute Japan ビジネス開発本部 CIビジネス開発部 部長 高橋昌樹氏

「商品やサービスを顧客を当てはめる手法は通じなくなっており、マーケティングには顧客中心のビジネスモデルが求められている。SAS Customer Intelligence Suiteは、顧客を理解するための分析(Insight)、最適化された顧客への対応(Interaction)、効果測定と高度化(Improve)という3つの"I"によって表現される顧客中心型ビジネスモデルを包括的に実現するCRM製品。他社では、この3つの"I"を実現できていない。SAS Customer Intelligence Suiteを利用することで、ほかのアプリケーションと接続することなく、親和性の高いひとつのソリューションとして提供できるほか、成長段階にあわせた最適な形で導入ができる」(SAS Institute Japan ビジネス開発本部 CIビジネス開発部 高橋昌樹部長)とした。

SAS Customer Intelligence Suiteを構成するのは、「SAS Marketing Automation」「SAS Marketing Optimization」「SAS Real-Time Decision Manager」「SAS Digital Marketing」。

SAS Marketing Automationは、顧客を理解し、適切なコミュニケーションを実施、その効果を検証するという一連のマーケティングプロセスの実現をサポートする中核的ツール。顧客データの収集、統合、管理とともに、顧客セグメンテーションとプロファイリング、顧客の行動予測を実現する機能を提供する。さらに、BI機能を活用することで、迅速に効果検証やレポーティングを実現できるという。

「SAS Customer Intelligence Suiteの多くの部分がSAS Marketing Automationによって構成される。CIに求められる一連のプロセスをカバーする」という。

SAS Marketing Optimizationは、マーケティング活動で得られた情報やマーケティングでの戦略的要因などを考慮し、最小のコストで最大の効果を得るキャンペーン戦略を策定し、キャンペーンの最適化を実現する。

「SAS Marketing Automationの足りない部分を補うのがSAS Marketing Optimization。コールセンターのキャパシティやコンタクトポリシーといった制約条件を踏まえ、最大の効果を得るためのコンタクト数や方法を最適化できる」という。

今回の製品から新たに追加したツールが、SAS Real-Time Decision ManagerとSAS Digital Marketing。

SAS Real-Time Decision Managerは、コールセンターやPOS、ATM、Webなどの顧客チャネルに対して、SASの分析技術を、ビジネスルールやコンタクト戦略にを適用し、現場の意思決定支援材料や顧客へのレコメンドをリルタイムで配信するコンポーネント。「離反リスクの高い顧客の生涯価値を算定し、会費の割引などの引き留め策を実施するか否か、といった意思決定をリアルタイムに支援できる。その時々の状況に合わせた判断が可能になる」という。

SAS Digital Marketingは、電子メールや携帯電話向けメール、RSSなどのデジタルチャネルを活用したマーケティングコミュニケーションを実行するソリューション。SAS9をベースに構築された統合ソリューションで、データベースへのアクセス、顧客セグメンテーション、コンテンツの作成および管理、レスポンス結果のレポーティングに至るまで、高い信頼性のもとに実現できるという。

SAS Real-Time Decision Manager

SAS Digital Marketing

SAS Institute Japan 執行役員 ビジネス開発本部長兼技術本部長 宮田靖氏

「これらのツールによって、顧客中心型ビジネスモデルを実現する包括的な機能を提供できる」(SAS Institute Japan ビジネス開発本部CIビジネス開発部 高橋昌樹部長)という。

同社執行役員ビジネス開発本部長兼技術本部長の宮田靖氏は、「当社は"BIベンダ"というよりは、"BIアプリケーションベンダ"であり、CI(カスタマインテリジェンス)は、BIアプリケーションのひとつだといえる。BIプラットフォームをより高度化し、顧客の知見を高めるためには、CIが重要な役割を果たす。SASではカスタマインテリジェンスのほかにも、サプライチェーンインテリジェンス、ファイナンシャルインテリジェンスといったインテリジェンスソリューションを提供しているが、CIはそのなかで最も歴史が長いソリューション。自信を持って提供できる製品」とした。

動作環境は、Windows、Solaris、HP-UX、AIXなど。直販およびパートナーを通じて、ライセンス形態で提供する。価格は、SAS Digital Marktingによる最小構成の場合で1,500万円から。

一方、同社では、この日、SASのBIプラットフォームおよびソリューションの最新活用事例を紹介するプライベートイベント「SAS Forum Japan 2008 Tokyo」を、東京・六本木のグランドハイアット東京で開催。独立行政法人経済産業研究所のファカルティフェローであり、東京大学大学院工学系研究科教授の元橋一之氏による、「企業競争力を高めるIT 活用方法とは: 日米企業の違いとIT 経営に対するインプリケーション」と題した基調講演などが行われ、来場者が真剣に耳を傾けていた。