米国の資産家で"Corporate Raider(企業乗っ取り屋)"の異名を持つCarl Icahn氏がブログを開始すると、自身が最近オープンした「Icahnreport.com」上で予告している。同氏は業績や株価が低迷している会社の株を大量に買い集め、大株主として経営陣への株価対策や役員の辞任要求、自身の推薦する人物のボードメンバーへの選出などを矢継ぎ早に要求する、いわゆる「物言う株主」として恐れられている人物。最近ではOracleが買収した米BEA Systemsのほか、CEO交代や主力事業売却提案を発表した米Motorolaなどへの経営介入で知られている。Blogではこうした同氏の最新動向や経営陣への意見表明などが書き込まれることになるとみられ、その動向が注目を集めそうだ。
Icahn氏は、1980年代に航空会社の米TWA(Trans World Airlines、現在はAmerican Airlinesへ統合)への敵対買収で名を馳せた人物。TWAは、航空王として知られるHoward Hughes氏(映画「Aviator」主人公のモデル)が経営にも携わったことがある名門企業。同氏はこのほかにも、食品会社のNabisco、石油会社のTexaco(現在はChevron傘下)、コミック出版のMarvel Comicsなど、ざっと挙げただけでも多くの企業で、かつ多様な業界に影響力を行使し続け、その一部には現在でも経営者の1人として収まっている。近年ではその実力行使ターゲットとしてIT企業の名前が増えつつあり、1月に買収が報告されたBEAのほか、Time Warner、Motorolaなどの経営陣が同氏と駆け引きを続けている状態だ。2月1日(米国時間)には、Icahn氏がMotorola経営陣に対して自身が推薦する4人の人物のボードメンバーへの参加要求が行われていたことを、同社が認める発表をしている。