三重県の建設会社kodo.ccなど全国の7つの建設会社は4日、ビル建設から家庭のリフォームまで、ネット上で建築・土木工事の受発注をマッチングできるサイト「建サク」のサービス提供を共同で開始したと発表した。ネット上で発注者と受注者を引き合わせることで、建設業界でこれまで問題となってきた"元請け、下請け間の中間経費"を削減、「公共工事削減で厳しい状況が続く建設業界の活性化に貢献したい」(kodo.cc)としている。
建設企業は、全国に約56万社存在すると言われているが、1995年に約35兆2,000億円だった公共工事予算が、2006年には約18兆2,000億円とほぼ半減するなど、地方を中心に厳しい状況が続いている。また、大型プロジェクトなどの場合、元請けから縦の系列で数次にわたる下請け構造が連なり、末端では資金不足などから倒産、人材不足に陥る企業が続出するなど、構造的な問題を抱えている。
こうした状況下、kodo.cc代表取締役の立花哲也氏が、縦構造の中間経費の削減を目的に、建築・土木工事の発注者と受注者を直接結びつけるインターネットシステムを開発。全国の7つの建設企業と共同で、2007年7月に、受発注者マッチングサービス「建サク」の試験提供を開始した。
建サクではまず、発注希望者、受注希望者がそれぞれ、希望の発注条件と受注条件、自らの企業情報などを登録して会員となる。会員登録後、サイトを検索して受注を希望する案件を発見した企業が、その案件を登録した発注企業の「紹介希望」を建サクに送信。建サク側は発注企業に、受注希望企業の企業情報の一部を電子メールで送信、発注企業が「OK」を出せば、受注希望企業に発注企業の情報の一部を電子メールで送信する。
その後、双方の詳しい企業情報があらためてお互いに開示された段階で、建サク側が、発注金額の1%を双方に請求(双方合わせて1%)する、という仕組みとなっている。
受発注者などの情報は、東北、北海道(以上担当:羽後設備)、北関東(同マルホ建設)、東京、首都圏(同横浜ビル建材)、北信越(同砺波工業)、東海(同kodo.cc)、関西、四国(同三和建設)、九州、中国、沖縄(同丸昭建設)の12エリアごとに分類され、建サクを運営する7社が、それぞれ担当するエリアでの情報収集と登録呼びかけを分担する。
昨年7月から約1カ月間、東海エリア限定で行われた建サクの試験提供では、同エリアの約260社が登録、10件の成約があったという。建サク運営企業では、今後1年間で、10万社(人)の登録、1万件の成約を目指すとしている。
kodo.ccの立花氏は「サイト上に企業情報を有料で調べることができるコーナーを設けたり、不払い問題が起きればすぐ退会させるなど、受注者と発注者の信頼関係を構築できるシステムになっている。一般の人にとっても壁となっている数次にわたる縦の下請け構造を、ネットを活用して水平分業とすることで、ビル建設から家庭のリフォームまで、誰でも気軽に受発注ができるシステムにしたい」と話している。