米Microsoftは2月1日(現地時間)、米Yahoo!に対して1株あたり31ドル、総額約446億ドルでの買収提案を行ったと発表した。これは、31日の取引終了時点での同社株価19.18ドル(時価総額約256億ドル)に62%のプレミアを上乗せたもの。もし買収が成立した場合、Yahoo!株主はキャッシュまたは等価のMicrosoft株を受け取ることが可能。その狙いは両社のサービスと技術を組み合わせることで、オンラインビジネスの分野で急成長しつつあるGoogleらライバルに対抗していくことにある。

「われわれはYahoo!に敬意を抱いている。ともに行動することでオンラインサービス市場で優位なポジションを築き、ユーザーやコンテンツ提供者、広告主らに対してますますエキサイティングなソリューションを提供できるようになるだろう」と米Microsoft CEOのSteve Ballmer氏はコメントしている。また同社でオンラインビジネスの再編を進めているCSA(Chief Software Architect)のRay Ozzie氏も「われわれの生活やビジネスを急変させたWeb業界のパイオニアがYahoo!だ。両社の力を合わせれば、個々では成し遂げられない新しい体験をユーザーに届けることができるようになるだろう」と述べ、Yahoo!に賛辞を送っている。

今回のポイントの1つは、急成長しつつあるオンライン広告市場にある。Microsoftによれば、2007年時点で400億ドルだった同市場は、2010年までに800億ドル規模とほぼ倍増が見込まれているという。だが一方で、この市場はGoogleがDoubleClickの買収を完了させることで専制が進み、市場シェアの7割近くを握る結果になるという見方もある。Microsoftの買収提案の発表の中では名前こそ明言されていないものの、Googleに対する非常に強い危機感が表現されており、これに対抗しうるのはMicrosoftとYahoo!のコンビネーションのみというのが発想の出発点になっている。

一方で買収提案を受ける側となる米Yahoo!は苦境に立たされている。1月29日(現地時間)に発表された同社2007年度第4四半期(10-12月期)決算では、18億3200万ドルの売上と前年同期比で7.6%と上昇しているものの、純利益では2億600万ドルと13%の減少となった。業績低迷を受け、同社では1000人規模の人員削減策を表明している。また31日には、創業者のJerry Yang氏のCEO就任を受けて代表権を持たない会長職に収まっていたTerry Semel氏がボードメンバーの職を降り、同社を離れる人事が発表されている。Semel氏は2000年以後のYahoo!の低迷期とその復活を支えた中心人物の1人。

だがこうした状況において、Yang氏が素直にMicrosoftの買収提案に乗るかは微妙な情勢だ。以前、MicrosoftがYahoo!に対して買収提案を行った際、強行に反対意見を唱えていたのが同氏だったといわれている。こうした創業メンバーを説得し、文化の異なる2社をいかに結びつけられるかが買収の成否に関わっているといえる。

Microsoftでは2月1日の早朝(西海岸時間の5時半)に、同社ボードメンバーを交えた記者会見を予定している。Webキャストの視聴方法やYahoo!ボードメンバーに宛てた手紙の全文は同社の発表したプレスリリースで参照できる。

なお、本記事は追って詳細をレポートする。