米Motorolaは1月31日(現地時間)、携帯電話ビジネスの成長促進と収益改善に向けた事業再編策を発表した。その中で「選択肢の1つとして同事業の切り離しもある」と述べており、分社化あるいは事業そのものの売却を検討していることを示唆した。携帯電話部門は同社売上の半分以上を担う主力事業だが、ここ最近はヒット商品に恵まれずに売上が低迷、世界市場シェアでも2007年には韓国Samsungに抜かれて3位に転落するなど、大規模な刷新を必要としていた。
同社が1月23日(現地時間)に発表した2007年第4四半期(10-12月期)決算は、売上高が96億4600万ドルで前年同期比18%のマイナス、純利益は1億ドルで84%のマイナスだった。2007年通年では366億2200万ドルの売上で前年比15%のマイナス、2006年度に36億6100万ドルだった純利益は4900万ドルの損失と赤字に転落した。米Symbol Technologies買収の効果で企業向けモバイルソリューション事業が好調な一方、携帯電話端末を製造するモバイルデバイス事業は前年比33%の減少となっており、同社にとってのアキレス腱になりつつあることがわかる。事業自体の比重も落ちており、2006年度に同社売上の3分の2を占めていた同事業は、2007年度には半分程度の水準にまでなっている。調査会社の米IDCが1月25日(現地時間)に発表した世界の携帯電話市場調査報告によると、2007年の市場シェアはNokiaが40%、Samsungが13.9%、Motorolaが12.2%だ。
このようにMotorolaの業績が低迷するなか、その責任を取る形でEd Zander氏が2008年1月1日に同社CEOの座を降りた。同氏の跡を継いだ社長兼CEOのGreg Brown氏は「個々の事業部は、優秀な人員と製品、そして知的財産を持っており、すべてのマーケットセグメントにおいてリーダーシップを成し得るだけの能力を有している。今は、モバイルデバイス事業の業績回復を加速し、株主の利益となる方策を模索しているところだ」と、部門切り離しがMotorolaならびに同事業部双方にとってのメリットとなる選択肢の1つであると説明する。
Motorolaは現在、資産家で同社の大株主の1人であるCarl Icahn氏から経営上のプレッシャーを受けており、同氏のMotorola取締役への選出、株買い戻しによる株価対策、そして同社分割による事業効率化といった要求を突きつけられている。Ed Zander氏退任もIcahn氏の影響があったと見られており、今回のモバイルデバイス事業の分社化/売却の検討表明もまた、同氏を含む株主へのメッセージだと考えられる。