総務省はこのほど、送信先の同意を得ていない広告・宣伝メールに関し、「未承諾広告※」の表示と、送信者の氏名や住所を明記するよう求めている現行の迷惑メール防止法を見直し、送信先の同意を得なければ広告・宣伝メールを送ってはならないとする「オプトイン方式」を採用する方向で検討を始めた。今国会に提出する同法の改正案に盛り込む予定だ。

総務省では、オプトイン方式の採用と同時に、法に実効性を持たせるための、悪質業者への報告徴収(罰則付きの回答要求)や措置命令(罰則付きの改善命令)を行うことができる法制度整備も検討している

オプトイン方式の採用は、総務省の「迷惑メールへの対応の在り方に関する研究会」が昨年12月に打ち出した中間取りまとめ案において、現行の法制度である「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」(通称:迷惑メール防止法)の見直しのあり方として提言された。

2002年に制定された同法においては、電子メールというメディアの特性を利用して大量に送信される広告・宣伝メールに対し、送信先が拒否するかどうかを送信者側に事前に確認させるようにすれば送信者側に大きな負担がかかる恐れがあることや、「未承諾広告※」の表示がある広告・宣伝メールに対するフィルタリング技術への期待から、広告・宣伝メールには「未承諾広告※」の表示をし、一度同メールを受信した人から拒否の通知を受けた場合は、再送信を禁じるとしている。

だが、同法の施行後、正当な営業活動の一環で広告・宣伝メールが送信される場合は、受信者側の意識や広告宣伝効果などを考慮すると、送信先の同意を得てから送信するオプトイン方式が主流になっている。一方、「未承諾広告※」の表示によってフィルタリングされると、そもそも広告・宣伝の意味をなさないため、広告・宣伝メールに関する上記の規定が効果をあげていないという現状がある。

研究会はこうした点から、現行法にオプトインの考え方を導入することを提言。具体的には、送信先のメールアドレスを取得した状況により、以下の4通りのケースが想定されるとし、それぞれの場合を検討した上で法整備をするとしている(カッコ内は海外の状況など)。

  1. 受信者から直接提供されたメールアドレスを利用する場合(オプトイン方式をとる国でも例外を設けている)
  2. 送信者が(架空も含め)作成したメールアドレスを利用する場合(すでに各国が規制を行っている)
  3. 送信者がウェブサイト上のメールアドレスを検索ソフトにより収集するなど、自らが収集して利用する場合(オプトイン方式をとる国では送信者の同意を得ることが原則)
  4. 第三者から提供されたメールアドレスを利用する場合(受信者の同意なく第三者から提供された場合は問題が多い)

また、オプトインの考え方を導入する場合、事前の同意を取得して広告・宣伝メールを送信する場合でも、受信者が拒否の意思表示をした場合は、以後の同メールの送信は禁止されることが適当としている。

また、法に実効性をもたせるための規制強化も提言。具体的には、総務省が電気通信事業者に対し悪質業者に関する情報提供を要請し、業者に対し報告徴収(罰則付きの回答要求)や措置命令(罰則付きの改善命令)を行うことができるよう法制度を見直すとしている。

迷惑メール対策を担当する総務省 総合通信基盤局 消費者行政課 専門職 大磯一氏は「オプトイン方式の採用については、『未承諾広告※』の表示に実効性がなくなっているのが要因の1つ。今後は、同方式の採用を含めた法案化作業を進め、2月末~3月に今通常国会に提出できるよう準備を進めたい」としている。