ヤフーは、外部サイトでYahoo! JAPAN ID(以下、ヤフーID)の利用を可能にするOpenIDの発行サービス(β版)を開始すると発表した。OpenIDを利用するサイトは、独自の認証システムを設置することなく、Yahoo! JAPAN IDを持つ2,000万以上のユーザーに向けてサービスを提供することができるようになる。また、ユーザーはOpenID対応サイトであれば新たにアカウント登録を行わなくても、既存のYahoo! JAPAN IDでログインが可能となる。
OpenIDは世界中のOpenID対応サイトで共通して利用できるURL形式のIDで、米Yahoo!もサポート開始を発表している。サイトごとにアカウント登録する面倒を省くだけでなく、安全にログインできる仕組みとして提供されているシステムだ。
ヤフーIDでOpenIDを取得した場合は、通常の形式である「http://.openid.ne.jp」(部分は任意で登録可能)等のURLで発行されたものでなく、すでに自分が使っているヤフーIDを利用して、各サイトにログインすることができる。ただし、各サイト上でヤフーIDをそのまま入力するのではなく、一度Yahoo! JAPANのログインページへ移り、そこでログインを行った上で各サイトに戻る、という手順を踏む必要がある。
Yahoo! JAPANのログインページへ移れば、独自のフィッシング詐欺対策である「ログインシール」の設定により、正しいログイン画面であることが証明された状態でログインできるという利点がある。しかし誤ってOpenID対応サイトのログイン画面でヤフーIDとパスワードを入力してしまうと、悪意あるサイトにユーザーの情報が漏洩する可能性もあると、同社では注意喚起している。
ヤフーIDによるOpenIDの発行は、現在公開されている最新の仕様であるOpenID 2.0に準拠して行われるため、バージョンが未対応のサイトでは利用することができない。またOpenID対応サイト自体がまだ多くないこともあり、現時点でユーザーがOpenIDを取得してすぐに様々なサイトの利用が簡便になるというわけではない。
現在のところ、Yahoo! JAPANのOpenID説明ページ内にはOpenID 2.0対応サイトの案内はなく、OpenID日本語公式サイトに掲載されているOpenID対応サイトもいくつかが2.0未対応であるなど、活用するための情報が少ないのが現状だ。だが、いわゆるWeb2.0的サービスにおいてユーザー登録を求めるサイトが非常に多くなっており、アカウント作成の手間やID・パスワードの管理が煩雑になっていることを背景に、大きなニーズがあることは確実だろう。Yahoo! JAPANの2136万ID(2007年12月末現在)が潜在ユーザーとなるサービス開発者側の利点は大きい。
同社では利用者の利便性向上とインターネットビジネスの市場拡大を目的に、広告、課金決済、認証などのプラットフォームを開放するオープン化戦略を推進しており、今回のOpenIDの発行もその一環であるとしている。