フラッシュベースのFPGAベンダである米Actelは、低消費電力と高性能を両立させたFPGA「ProASIC3L」を発表した。25万ゲートから300万ゲートまでの4製品がラインナップされており、単価は10万個出荷時で3.95ドルからとなっている。
Actelの FPGA「ProASIC3L」 |
ProASIC3Lは同社従来製品のFPGA「ProASIC3」と比較し、スタティック電力(待機時の消費電力)を90%、ダイナミック電力(動作時の消費電力)を40%削減している。また、同社のFlash*Freeze技術に対応することで、消費電力をさらに抑制することが可能だ。Flash*FreezeはFPGA内部のメモリ(SRAM)やレジスタのコンテンツ情報を保持しつつ、外部クロックの供給を止める動作モード。電圧、I/Oおよびクロックをシステムレベルで切らなくても、I/Oおよびクロック・マネジメントを通じてパワーマネジメントを行うことができ、これにより消費電力は最小0.4mWまで下げることが可能となる。Flash*Freezeモードのほか、通常のスリープモードにも対応している。同モードはFPGAコアの電圧とクロックの供給を遮断する動作モード。消費電力はバンク当たり最小3μWを達成している。
ProASIC3Lは最大350MHzで動作するが、FPGAに最適化された32ビットプロセッサ「ARM Cortex-M1」を無償で実装することも可能だ。同プロセッサは最大70MHzで動作し、システムゲート数60万の場合、FPGAロジック面積の32%を使用する。また、ネスト化されたベクタ割り込みコントローラを採用することでインタラプト遅延を短縮、電力消費を削減しているほか、命令セットとして「Thumb-2 ARMv6-M」に対応、従来の命令セット「ARM ISA」と比べ性能が38%向上しながらも、使用メモリ量は31%減を達成しており、さらなる消費電力化を実現している。このほか、同プロセッサは16ビット命令を32ビット命令に割り込ませることがモードを変換することなく可能となっている。
また同社は、2月の上旬にProASIC3Lに対応した統合設計環境(IDE)「Liberoバージョン8.2」の提供を開始する。Liberoにはタイミングドリブン配置配線のほか、パワードリブン配置配線と分析ツールが含まれており、これを用いることでダイナミック電力を最大30%削減することが可能だ。
ProASIC3Lの登場により低消費電力FPGA製品のラインナップが拡張されたことに対し同社上級副社長のファレス・ムバラック氏は、「今後数年間で低消費電力のソリューションはますます求められるようになってくる。その時、”低消費電力ソリューションならActel”とユーザに選んでもらえるような取り組みを進めていきたい」と語る。
出荷は2008年第1四半期より順次行われ、第3四半期にはすべての製品の提供が開始される。製造は台湾のファウンドリUnited Microelectronics(UMC)が行い、採用プロセスは130nmである。
製品の主な仕様は以下のとおり。
ファミリ名 | A3P250L | A3P600L | A3P1000L | A3P3000L |
---|---|---|---|---|
ゲート数 | 250,000 | 600,000 | 1,000,000 | 3,000,000 |
タイル数(D-FF) | 6,144 | 13,824 | 24,576 | 75,264 |
RAM(kビット) | 36 | 108 | 144 | 504 |
PLL | 1 | 1 | 1 | 6 |
なお、同社は日本担当のセールスディレクターに片山雅美氏を任命したことも発表している。片山氏は1955年生まれの52歳。IBMにエンジニアとして入社した後、代理店ビジネスのマクニカなどを経て半導体メーカーであるSilicon WaveやZarlink Semiconductorの日本カントリマネージャーとして日本法人の立ち上げやデザインイン活動などを行ってきた。同氏は、日本市場への戦略として、「低消費電力FPGA製品を中心に測量器などの産業用機械や医療用機器など携帯しながらも常に動作している機器をターゲットに、消費電力を抑えることができるソリューションを提供することで顧客の獲得を目指す」としている。