フィンランドNokiaとノルウェイTrolltechは28日(現地時間)、NokiaがTrolltechに対し株式公開買い付けを行うことで合意したことを発表した。NokiaはTrolltechの株式1株につき16ノルウェイクローネ(NOK)を支払う。合計の買収金額は8億4,300万NOK(約162億8,248万円)を見込む。すでに66%強の株式保有者が取引に賛同しているという。Nokiaはこれにより、ソフトウェア/サービス事業を強化する。
Trolltechはノルウェイのベンチャー企業で、「Qt」ブランドでC++開発者向けにオープンソースアプリケーションの開発ツールキットを開発/提供している。KDEをベースとしており、デスクトップ向けのQt、それにモバイル向け「Qtopia」などを主力製品に持つ。クロスプラットフォーム対応とGUIを特徴とし、オープンソースとしてソースコードを無料で公開する一方で、サポートつきのプロプライエタリ製品を有料で提供するというデュアルライセンス方式をとる。シャープ、米IBM、米Motorolaなどを顧客に持つ。
Nokiaは同社を買収することで、ソフトウェア/サービス分野の強化を図る。モバイル端末およびデスクトップアプリケーション向けのクロスプラットフォームソフトウェア戦略を強化し、インターネットサービス事業を開発する。また、主力UI技術である「S60」それに「Series 40」の競争力強化にも役立つとしている。
クロスプラットフォームは、分断化しているモバイル分野にとっては特に重要な要素となる。Nokiaは、Webランタイム、Flash、Java、Open Cなどのレイヤで構成されるクロスプラットフォーム開発環境をベースとしたソフトウェア戦略を敷いており、Trolltechの技術を取得することでここを強化できる。また、デスクトップ側でも、インターネットによりモバイルとデスクトップ側との連携がさらに要求されていることから、開発ツールを手に入れることはメリットになるだろう。Nokiaは昨年、インターネットサービスブランド「Ovi」を発表、昨年末より順次Oviブランドでのサービスを発表/拡充している。
Trolltechの製品は買収後、Nokiaがライセンス管理する。Nokiaでは買収後もTrolltechの開発とサポート事業を継続して行うとしている。
買収提示金額である1株当たり16NOKは、同社の25日の株価終値の10NOKにプレミアムをつけたもの。今後、株主の賛同、規制当局の承認などを得る必要がある。2社によると、取引はすでに、発行済み全株式の66.43%に相当する株主の賛同を得ているという。取引は今年第2四半期に完了を見込む。