25日、韓国で「Second Life」が正式オープンした。韓国で運営を行っているのは、芸能人のマネージメントやオンラインゲーム制作などを行っているエンターテインメント企業・T-Entertainmentだ。2007年10月に米Linden Labとの契約を行っている。
その後、11月末に「Sera Korea」という韓国語サイトを立ち上げ、本サービスへ向けた試験サービスを開始した。このSera KoreaはSecond Lifeへの入り口とでも言うべきサイトで、サービス全体の案内など初心者向けの機能が提供されている。
本格サービスにより新たに始まったサービスは、新作映画の試写会やミュージックビデオ、UCC(User Created Contents:ユーザーが直接作成した投稿動画などのコンテンツ)を鑑賞できる「オープンシアター」や、Second Lifeのユーザー間コミュニケーションの場である「コミュニティランド」、音声チャットを利用したカラオケ、ブログなどだ。いずれも韓国ユーザー好みのサービスといえる。また今後はさらに多様なサービスを提供することで「ポータルを目指す」(T-Entertainment)という。
また本サービス開始にあわせ、非営利団体が運営している中古品販売店「美しい店」が、Second Life内にも新たにオープン。ユーザーは、ここで販売するための中古品の寄付などができるという。入居している企業は「現在、準備中のところが多い」(T-Entertainment)ということで、今のところ露出している企業は少ないが「話し合いが進行中の団体の中には政府機関もある」(同)ということで、今後多様な方面の企業や団体がSecond Lifeでの営業を開始することとなりそうだ。
一方マーケティング活動は、これまで本格的に行っていなかったが、今後は本腰を入れていく。T-EntertainmentではメディアグループであるJoins.comと、Sera Koreaのマーケティングや広報を共同推進していくことで覚書を取り交わした。
これを受けて両社は、音声チャットやアバターを活用したネイティブスピーカーによる英語教育や、Second Life内で収益を得られる方法を伝授する創業説明会などを、Sera Korea内で開催する。
またSecond Life内で起きているニュースを取材して報道するほか、他の報道機関へ伝える広報活動も、ともに進めることとなった。
リンデンドルをめぐる問題
韓国版Second Lifeでは、貨幣として「Sera Cash」およびリンデンドルを使う。リンデンドルが米ドルを基準にしているのと同様、Sera Cashは韓国ウォンを基準としている。リンデンドルを使用するには、このSera Cashから変えて使う形となる。
ちなみにこの貨幣に関しては、Second Lifeが韓国でサービスするにあたり、もっとも苦労した点のひとつだといえよう。
韓国では「ゲーム産業振興法」により、ゲームで得たアイテムなどを商業目的で現金化することは禁止されているのだ。この法律では、カードゲームなど賭博性の高いゲーム、もしくはその代替物としてサービスされているオンラインゲームの機能で得たアイテムなどは、現金に替えることができない、としている。
ここでSecond Lifeはゲームなのか、という疑問が浮かんでくる。実際韓国でもそうした議論が活発に行われていたことはあったものの、政府側では「ゲーム的な要素もある」という立場をとっているため、現在のところは法律に従う形で、韓国ウォンへの現金化はできないこととなっている。
こうした地域独特の事情もあるものの、T-Entertainmentでは韓国ユーザー好きのするサービスを多く導入することで、それ以上の価値を提供できるよう努力しているとする。エンターテインメント企業の同社だけに、今後は芸能やゲーム関連のコンテンツを充実させ、韓国ならではの発展を遂げられるかが注目される。