京都府警は24日、ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」を利用して、京都アニメーションが制作したアニメーション「CLANNAD(クラナド)」の静止画像の入ったコンピューターウイルスを作成、不特定多数に配布したとして、ウイルス作成者の20代の男子大学院生を、著作者権法違反容疑で逮捕した。ウイルス作成者の国内での逮捕は初めてという。

京都府警によれば、ウイルス作成者の大学院生は昨年10月26日から11月28日までの間、クラナドの第1話「桜舞い散る坂道で」の静止画像を表示させ、その画像の上に「まだ懲りずにP2Pを使って楽しんでいるおバカなヲタ野郎はまじコロス」などの文字を重ねるなどの機能を付加したウイルスを作成。さらに11月28日、大阪府泉佐野市の自宅において、同ウイルスを不特定多数に配布し、京都アニメーションやポニーキャニオンなどが有する著作権を侵害した疑い。

また、京都府警は24日、「アイドルマスター XENOGLOSSIA(ゼノグラシア)」と「機動戦士ガンダムOO(ダブルオー)」に関する情報をWinnyを利用して不特定多数に配信できるようにしたとして、30代の男性2人を著作権法違反の疑いで逮捕した。

今回の逮捕について、インターネット関連の法律の第一人者である、弁護士(英知法律事務所)で国立情報学研究所客員教授の岡村久道氏は「今回は、ウイルス作成者を著作権法違反容疑で逮捕したが、著作物を利用したウイルス以外には同法は適用できないわけで、いわば"苦肉の策"。ウイルス対策に関する法制度は、共謀罪と抱き合わせになった形で2004年2月に国会に提出されたため、いまだに成立していない。ウイルス対策の法制度は、同罪と切り離した形での整備が望ましい。そうした意味で今回の逮捕は、ウイルス対策に関する法整備に対し、一石を投じたのではないか」と話している。