フライト中にインターネットや携帯電話を利用したい――そんなユーザーの夢がまた一歩現実に近付いた。米Southwest Airlinesは23日(現地時間)、航空機内において無線LANによるインターネット接続サービスを提供する計画を発表した。
南カリフォルニアを拠点とする米Row 44と共同で衛星通信を使ったインターネット接続網を構築し、PCや携帯電話など、無線LANに対応した端末を持ち込んだ利用者にインターネット接続サービスを提供する。Connexion by Boeingの撤退以来、機内インターネット接続サービスは事実上消滅していた状態だったが、ここにきて欧州のSITA/OnAirや米JetBlueといった航空会社が次々と同種サービスのフィールドテストを開始するなど、復活の兆しを見せつつある。
Southwestの発表ではインターネットとの接続帯域は公表されていないものの、その用途として電子メールのほかに、音楽、ショッピング、VPNといったサービスが挙げられており、比較的広帯域で安定し、自由度の高いネットワークが開放されるようだ。今回同社がパートナーに選んだRow 44は、航空機向けに機内インターネット、ビデオエンタテインメント、携帯電話といった補助サービスを提供する企業。そのソリューションは大型機や胴長機をはじめ、国内線といった近距離フライト向けの中小型機も幅広くカバーする。Connexion by Boeingで課題となっていたのが、スペースを多く占有する機材の大きさから導入機体が限定されていたことで、Row 44のソリューションのこうした柔軟性はひとつの強みとなる。
米Southwest Airlinesのマーケティング担当シニアバイスプレジデントのDave Ridley氏は「Row 44と共同で米国内の商用フライトに非常に広帯域のサービスを提供する計画だ。Southwestの選んだ衛星通信技術は、市場にあるほかのソリューションよりも、単位フライト換算でより多くのユーザーをカバーすることが可能だ。また電子メールだけでなく、新たな機内エンタテインメントサービスも提供していく」と述べ、こうしたサービスの提供が競合他社との強力な差別化ポイントになることを期待するコメントを発表している。
Southwestは米国内で活躍する格安航空会社として、JetBlueやUS Airways(旧・AmericaWest)などとともに大手航空会社に対してプレッシャーを与えるだけの急成長を遂げている。ライバルのJetBlueは昨年(2007年)12月11日、他社に先行する形で「BetaBlue」と呼ぶ機内インターネット接続サービスを搭載した機材のテスト飛行をスタートしている。同様のサービスは大富豪のRichard Branson氏率いる英Virgin GroupのVirgin Americaも計画しているといわれる。Southwestはオンライン発券や原則早い者勝ちの自由着席サービスなど徹底したコスト削減とスピーディな運営でユニークなポジションを築いた航空会社だが、今後はさらなるサービスの拡充で顧客層を広げていく戦略のようだ。