「Windows Live Call by ドットフォン」を発表
NTTコミュニケーションズ(以下、NTTコム)とマイクロソフトはIP電話事業で提携、IP電話とWindows Live Messenger 2008を連携させた「Windows Live Call by ドットフォン」サービスを開始する。NTTコムは、一般消費者向けのIP電話サービスのいっそう普及、拡大を図り、マイクロソフトは、Windows Live Messenger 2008のコミュニケーション機能の強化によりWindows Liveの付加価値向上を目指す。
「Windows Live Call by ドットフォン」は、簡単な申し込みにより、NTTコムから、050で始まるIP電話(050IP電話)の番号が割り当てられ、特別な専用ソフトなどを用意することなくWindows Live Messenger 2008をインタフェースとして、パソコン上から電話をかけることができるサービスだ。利用に際しては、ADSL、光ファイバー接続などのブロードバンド環境が必要になる。
このサービスでは、NTTコムが提供する「050IP電話」、@nifty、BIGLOBE、So-netといった無料通話先プロバイダが提供する約400万契約の「050IP電話」への通話は無料。一般加入電話、携帯電話、IP電話、国際電話には割安な通話料金で電話をかけることができる。また、どのパソコンからWindows Live Messenger 2008にログインしても、ユーザー専用の050IP電話番号を変えることなく利用できる。
同サービスは基本的な「本サービス」と「転送・留守番でんわサービス」が用意されている。「転送・留守番でんわサービス」は着信した場合の利便性を考慮したもので、「転送」では、あらかじめ指定した番号につなぎ、一般加入電話、携帯電話で着信できる。「留守番でんわ」は、メッセージを預かり、着信をメールで通知する。「本サービス」だけの利用もできるが、NTTコムでは「基本的に転送・留守番でんわサービスとのセットでの利用が一般的ではないか」としている。そのほか付加サービスとして、番号非通知や、あらかじめ登録した電話番号の発信を遮断する「番号非通知拒否サービス」もある。
IMとIP電話の融合による相乗効果を
NTTコムのIP電話事業は大企業向けの「.Phone IP Centrex」、SOHO(Small Office Home Office)向けの「OCNドットフォンオフィス」、一般消費者向けの「OCNドットフォン」がある。同社では、今回のサービスで、IP電話の適用領域を拡大させることを考えており、同社ネットビジネス事業本部 IPサービス部長の西山敏雄氏は「マイクロソフトのアプリケーションとの連携による、便利な使い方を提案していきたい」と話す。
今後のIP電話サービス展開の方向性を西山部長は、次のように語る。「従来の0AB~J番号(一般の加入固定電話に割り当てられる電話番号の形式)は、地域ごとに密着した番号で、(遠くへ)引越しをすれば、変更しなければならないが、(IP電話の)050番号であれば、引越しをしても変えなくてすむ。IP電話を、単に既存の一般加入電話の置き換えではなく、このような、地域や端末に依存しない、いわばユビキタス性を活かしたサービスを考えていきたい」
マイクロソフトは、インターネットを通じて提供するサービスのプラットフォームとして2007年11月に「Windows Live」を正式にスタートさせた。「Windows Live」には、「Windows Live Messenger」をはじめ「Windows Live hotmail」「Windows Live Photo Gallery」など「コミュニケーション」「共有」といった目的を主題に12のサービスがあるが、「Windows Live Call by ドットフォン」は、「コミュニケーション」機能を強化するものとなる。
同社 執行役常務 オンラインサービス事業部長の笹本裕氏は「Windows Liveは、パソコン、モバイル機器など、多様なデバイスに対し、シームレスにサービスを提供するとともに、パートナーといっしょにユーザーにサービスを届けるものだ。NTTコムと共同で、Windows Live MessengerにIP電話機能を付加することにより、Messengerのユーザー同士だけでなく、固定電話、携帯電話ともやりとりができるようになる。インターネットからのリアルな通話は、新たなコミュニケーション手段になるのでは」と述べている。
今回の両社の提携は、540万人が利用する「MSN Messenger/Windows Live Messenger」とIP電話の融合による相乗効果をねらっている。OCNドットフォンの無料通話先プロバイダは約280社、契約者数は400万に上っており、笹本常務は「MessengerとOCNドットフォンの重複率は10%程度であり(潜在的な)大きな市場があると考えている」としている。マイクロソフトは、「Windows Live Call by ドットフォン」を介した、さまざまなサービスのWebサイトとの連携やオンライン広告のネットワークとの連動も検討していく意向だ。