英エジンバラ大学と米Crayは14日(現地時間)、同大学で進めている英国最高の性能を誇るスーパーコンピュータプロジェクト「High-End Computing Terascale Resource(HECToR)」の第1フェイズとして、「Cray XT4」を発表した。12万以上のプロセッサコアに対応する拡張性をもつという。

エジンバラ大学内に構築中のCray XT4(2007年3月時)

完成したCray XT4

HECTorは、英Engineering and Physical Science Research Council(EPSRC、工学・物理学研究会議)がスタートしたプロジェクトで、英国全土の研究者や大学にHPC(High Performance Computing)リソースを提供することを目的とする。これにあたりEPSRCはスーパーコンピュータメーカーのCrayを採用、今回のCray XT4の導入が最初のフェイズとなる。

Cray XT4は、米Advanced Micro Devices(AMD)のOpteronを搭載した超並列型(MPP)システム。プロセッサ、メモリ、インターコネクト、I/Oでバランスのとれた性能を実現する。ハードウェア、ソフトウェアともに12万個以上のプロセッサコアに拡張できるよう設計されており、ピーク時で最大1ペタFLOPS以上を実現するという。

同システムはエジンバラ大学先端計算センターに設置され、新素材シュミレーション、計算化学、災害予測と非常時対応、バイオ科学などの分野での研究を支援していくという。

HECToRは今後もCrayの新技術を導入し、システムを強化していく。年内に「Cray X2」を、2009年には次世代のCray製MMPシステムを導入するという。Cray X2はベクター型ブレードで、Crayのハイブリッド型スーパーコンピュータ「Cray XT5h」の一部となる。HECToRによるCray X2導入は、Cray XT5hの初導入事例になるという。

CrayはHECToRを支援するにあたり、「Cray Center of Excellence」を立ち上げている。このセンターは、コードポーティング、アプリケーションのスケーラビリティ改善、アルゴリズムとシステムソフトウェアツールの開発、作業負荷とI/Oの最適化などを通してHECToRにおけるCrayのHPCプラットフォームをサポートし、将来の方向性を位置づけるものになるという。

同センターはCrayにとって欧州初のCenter of Excellenceとなり、Crayが進めている欧州における研究開発の土台構築において重要なステップになるとされている。