米Microsoftは10日(現地時間)、同社ビジネス部門(Microsoft Business Division: MBD)の新プレジデントとして米Juniper Networksの元COOだったStephen Elop氏を迎え入れる人事を発表した。現在MBDプレジデントのJeff Raikes氏は2008年時点で同社を離れ、それまでにElop氏への権限移譲をスムーズに行えるよう務める意向だという。Elop氏は1月末時点で同社へと参加し、MBD直下のInformation Worker、Microsoft Business Solutions、Unified Communicationsといった製品ソリューション群を束ねることになる。既報のとおり、同社で主にM&A戦略を担当していたBruce Jaffe氏の辞任表明も行われている。一度に2人の部門トップがMicrosoftを離れることを危惧する声もある一方で、現状の閉塞感を打破するために外部からの人選を積極的に行っているという話もあり、同社がいままさに組織改革の途上にあることがわかる。
退任を発表した古参トップのJeff Raikes氏 |
新任となるJuniper Networks元COOのStephen Elop氏 |
MBDはMicrosoftの2つめの柱にあたる事業。Microsoft Officeのほか、Windows Server、Visual Studio、SQL Serverなど、ビジネスソリューション関連の製品を統括的に扱っている。前任にあたるRaikes氏は1981年から25年以上にわたってMicrosoftに在籍している古参トップで、同社のエンタープライズ事業を現在の地位まで引き上げてきた功労者の1人である。このような形で近年のMicrosoftは、成長期の同社を支えた古参社員が次々と離れていく様子が散見される。PC技術が成熟期を迎え、今後の舵取りの難しさから新天地を求めているというのも理由のひとつだろう。だが一方でBill Gates氏の技術トップとしての地位を継承した2トップの1人であるRay Ozzie氏のように、コラボレーションソフトウェア分野の第一人者を呼び寄せるなど外部からのリクルートを行い、Microsoft自身が積極的な新陳代謝を目指しているという声もある。
Stephen Elop氏の招致はその最新成果だといえるだろう。同氏がJuniperに参加したのは2007年1月で、1年ほどの在籍期間となる。それ以前は米Adobe Systemsでワールドワイド・フィールド・オペレーション部門プレジデントを務めていたが、その経緯をさらにさかのぼるとAdobeが2005年に買収した米Macromediaに行き着く。Elop氏は1998-2005年までMacromediaの社長兼CEOとして同社を指揮する立場におり、ソフトウェア業界の経営プロフェッショナルだ。MicrosoftのMBD参加もその延長線上にあると考えられる。