東京都は今春から、インターネットカフェなどを住居代わりとして生活する若年層ら、いわゆる"ネットカフェ難民"を対象としたサポート事業を始める。10日から、同事業を委託する事業者の公募を始めた。サポートセンターを設けて健康相談や居住相談を行うほか、実際にネットカフェを巡回してヒアリングなどを行うアウトリーチ相談も実施するとしている。

同事業は、2008年度から3カ年計画で東京都が実施する予定の「10年後の東京への実行プログラム2008」の中の緊急総合支援対策事業の一環で、正式名称は「住居喪失不安定就労者サポート事業」。2億5,000万円の予算要求がなされている。インターネットカフェや漫画喫茶などで寝泊りしながら不安定な雇用形態で就労する住居喪失者を対象としている。

これらの住居喪失者、いわゆるネットカフェ難民は、昨年の厚生労働省の調査で、全国で5,400人、東京23区で2,000人と推計されており、大きな社会問題ともなっている。

サポート事業の内容は、2008年4月中に開設が予定されているサポートセンターを拠点とし、住居喪失者がどういう生活を送っているか、健康状態はどうなっているかなどについての生活相談や、ハローワーク職員による出張就労相談が予定されている。

また、民間賃貸物件の情報提供や賃貸借契約の支援、敷金・礼金など住居確保に必要な資金の貸付など、居住相談業務も行う。

さらに、サポートセンターのスタッフによる、ネットカフェを巡回してヒアリングをする「アウトリーチ相談」も実施。本当は住居に住みたいと思っているネットカフェ利用者に対する相談を行うとしている。

同事業の運営については、公募に応じた事業者の中から、2月~3月にかけて委託先を決定。4月から事業を開始する。

同事業を担当する東京都福祉保健局 生活福祉部 計画課 連絡調整担当副参事の坂本博文氏は「住居を持たないネットカフェ難民は、住居がない不安定さだけでなく、食生活も健全でないことも予想され、健康を害している可能性が非常に高い。未来の東京というより、まさに今すぐ行うべき緊急事項」と、同事業の必要性を強調している。