セカンドライフにはハイエンドPCが必要?

セカンドライフ(Second Life)はハイエンドなパソコンでないとできない、といわれることがよくあります。でも、使い方やセカンドライフに参加する目的よっては必ずしもハイエンドパソコンは必要ないように思います。

わたくしごとで恐縮ですが、最近の筆者のセカンドライフにアクセスするデフォルトパソコンは3年近く前に購入した「Mac mini」です(CPU:PowerPC G4 1.42GHz / メモリ:1GB / グラフィックカード:ATI Radeon 9200 / グラフィックメモリ:メインメモリと共有でVRAM 32MB)。昨今のパソコンのスペック向上の激しい中、どこらへんからがハイエンドになるのかよくわからないのですが、冷静に見てG4搭載のMac miniはハイエンドとはいえないでしょう。

この程度のパソコンだと"できないこと"も確かにあります。でも、英語に慣れたい人なら外国の人とのチャットもできるし、3Dのちょこまかしたモノ作りやらプログラミングも体験できるし、お店屋さんごっこに参加することもできるんです。

もちろん、スペック不足からくるストレスを少なくするために、ちょっとした工夫はしています。筆者のMac miniは、1年ほど前に初めてセカンドライフをダウンロードしたときから、普通にインストールでき、それなりに動いてくれました。でも、少々動きが重くて他のパソコンでアクセスすることが多かったのです。

でも、セカンドライフに少し慣れてグラフィック環境の設定をマメに変更するようになってから、Mac miniが活躍してくれるようになりました。設定といってもボタンのオン/オフを切り替えるぐらいで、専門知識などは不要です。たとえば、「ゼロからはじめるセカンドライフプログラミング」でクジラ飛行机氏も紹介しているように、「描画距離」を下げるだけでも、動かしやすくなります。

左の画面写真は、描画距離が最短の64メートルのもの、右の画面写真は描画距離が最長512メートルのものです。とくにチャットやIMには影響しません。遠景を表示しない場合、両者にはほとんど違いはありません(アバターのブーツは履き分けています)

描画距離の設定は「編集→環境設定」で行います(左の画面写真)。描画距離512メートルでも、他のグラフィック設定を落とすと、雪の積もった地面が平面真っ白になったり、全体的にカクカクした描写になったり、焚き火の炎が出なくなったりします。右の画面写真は極端な設定での例ですが、設定を取捨選択することで、操作時のストレスをより減らすことができます

他の人は何を見てる?

描画距離が64メートルの場合

描画距離が256メートルの場合

描画距離が512メートルの場合

自分ひとりで黙々とモノ作りに励んでいるときは、自分にとって使いやすい設定で事は足ります。しかし、友人たちとコミュニケーションをとるときには、相手は自分の環境と違うことを頭に入れておかないと、失敗します。

当然ですが描画距離=64メートルでは遠景は見えません。「あそこに浮かんでいる○○まで来てね」と言われ、64メートルの設定でアクセスしていることを忘れて意味がわからなかったこともあります(友人の環境では見えている遠くのモノが、筆者の環境では見えなかった!)。

ちなみに最近は、こんな失敗をしないため、よく行く場所はときどき512メートルにして周囲を見るようにしてます。512メートルにすると、いろんなものが見えておもしろいものです。街の中の建物の位置関係なども、512メートルのピーカンの世界で見るとよくわかります。

ところで、セカンドライフのユーザーがどんな環境でアクセスしているのか非常に興味があるところですが、少なくとも、友人たちとの会話から察するに、快適な環境の人ばかりではないようです。TP(トランスポート)で友人を呼び寄せたときなど「まだ灰色、まだまだモヤモヤ。……さー、そろそろオーケーよ~」といった会話が最初の挨拶になることもしばしばです。つまり、全く新しい土地にいきなり移動したとき、すべてのデータが転送され描画が完了し、正常に見えるようになるまでにしらばく時間がかかるのをお互いに了解してるので、こういった会話が成り立つ訳です。

今って夜? それとも昼?

ユーザー一人ひとりが見ているセカンドライフの世界が違っている原因は、パソコン環境からくるものだけではありません。セカンドライフでは、夜や昼の設定もユーザーが変更できます。

初めて花火大会に行ったときのことです。友人に誘われて、何のイベントか知らないまま屋外会場に行き、空いている椅子に座りました。そしてそのまましばらく座っていても何も始まらないので、何のために座っているのか友人に聞くと「花火大会が終わる前に『世界』を『太陽を調節する→深夜』に変更しなさい!」という返事が返ってきました。注意書きを読まないで座り込んでしまい、ずっと昼間の設定だったので、花火が見えていなかったのです。スピーカーも切っていました。すみません。

デフォルトの環境設定を変更しない限り、周囲のユーザーと「昼間と夜間が異なる」ような事態は起こりません

グラフィックの負荷を減らした昼の設定

グラフィックの負荷を高めに設定した夜の状態

フェイスライトは誰のために……

ユーザーが設定できる見た目の変更は他にもあります。ライティングもそのひとつです。セカンドライフでは、電球などの光源をユーザーが作ることができ、太陽と月だけの光にするか、ユーザーが作った電球などのローカルライトも入れるかどうかを設定することができます。太陽と月だけの光のほうが、パソコンの負荷は少なくてすみます。

ローカルライトを使うと、夜のショッピングモールを明るくするといった他にも、商品撮影などのときにスタジオのようなライティングがバーチャルで可能になります。

太陽と月のみの光の設定では、夜だと暗くなります

ローカルライトも入れると、照明機器で夜でも街は明るくなります。フェイスライトでお顔もピカピカです

ところで、ライティングのひとつに「フェイスライト」という有名な小道具があります。おしゃれな女子アバターは、顔の前に透明なライトを常時仕掛けて、顔を明るく照らしたりしています。中には、自分のパソコンでローカルライトが「切」の設定になっていて、効果がわからないけど装着してる女子アバターもいるようです。ま、フェイスライトできれいになった私を見て、というのなら、自分のパソコンではなく、自分を見ている他のアバターのパソコンの設定が大事になってくるので、自分で見えなくても正解ともいえます。

この他にもユーザーが設定できる見た目の項目はまだまだあります。β版の段階ですが、空や水の美しい描写が可能なバージョンの「WindLight」が2007年11月末から相次いでリリースされました。残念ながらMac miniでは美しい描写は見られそうにありません。でも、Flashを使ったウェブページが自分のパソコンで見られないからインターネットができないというわけでないのと同様、できるところでMac miniでもアクセスしていこうと思ってます。

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