米Googleによる米DoubleClick買収が米連邦取引委員会 (FTC)の承認を得た。米国時間の12月20日、FTCは4対1の決議で8カ月に及ぶ調査を終了したことを発表した。「調査報告を精査した結果、GoogleのDoubleClickに対する買収提案が競争の阻害となる可能性は低いという結論に達した」(FTC)。
Googleは今年4月、広告事業拡大につながる相乗効果を狙って、DoubleClickを約31億ドルで買収すると発表した。DoubleClickはディスプレイ広告に強みがあり、広告代理店や出版社、広告主との強いつながりを持つ。DoubleClick買収はGoogleにとって新たな顧客基盤の開拓となる。これに対してMicrosoftが「GoogleとDoubleClickの組み合わせは、オンライン広告市場の独占につながる」と声明を発表。さらにElectronic Privacy Information Center (EPIC)やCenter for Digital Democracy(CDD)などの消費者団体が、ユーザー情報の集中がプライバシー問題につながる可能性を指摘するなど、米政府に買収阻止を求める動きが広がっていた。
FTCは発表の中で3つの調査ポイントを挙げている。まず特定の市場を独占する可能性について、FTCの調査はGoogleとDoubleClickが直接的に競合する関係ではないと結論づけた。合併効果が競争の阻害につながる可能性については、関連する市場はいずれも競争が十分に活発で、かつ拡大傾向にあると分析。またオンライン公告サービス・管理技術におけるDoubleClickの影響力は、オンライン広告仲介サービスにおいてGoogleの競合の不利になるものでないと判断した。
FTCはプライバシー問題について「FTCは反トラストに関連しない点からトランザクションを阻止したり、条件を課す権限は持たない」としながらも、オンライン広告におけるユーザー情報の取り扱いの不透明さを軽減するためのガイドラインを公開して、同問題を深刻に受け止めている姿勢を示した。「(プライバシー問題は) GoogleとDoubleClickの組み合わせに限らず、オンライン広告市場全体が対象になる」とコメントしている。