米Googleは、無料のオンライン百科事典製作プロジェクト「knol」が進行中であり、先週より一部の専門家などに、記事執筆の協力依頼を始めていることを明らかにした。公開準備が整い次第、世界中の一般ユーザーも参加可能な壮大なプロジェクトになる予定だ。

Udi Manber氏

knolは、知識(knowledge)のコンポーネントをイメージしたネーミングで、多大のknolページの集合が、貴重な知識の宝庫を形成するとの概念に基づき、プロジェクトの立ち上げに至ったとされる。同社エンジニアリング部門副社長のUdi Manber氏は「インターネット上には膨大な量の情報があふれており、Googleは高性能検索ソリューションの提供を通じて、その情報へのアクセシビリティを高めてきた。しかしながら、まだインターネット上に掲載されていなかったり、十分に組織化されていなかったりする情報もあり、皆に共有したい有用な知識を持ちながら、その手段がないゆえに共有できていない人々が幾百万と存在する」とコメントしている。

この状況を打開するためGoogleは、knolを通じて科学、医学、地理、歴史から、エンターテインメントやIT製品情報に至るまで、あらゆるトピックについての専門的な情報を掲載できるページを提供。だれでも無料で手軽に執筆・編集できるページが用意され、Googleを始めとする各検索エンジンから、該当するトピックのknolページ上の情報へとジャンプできるシステムが構築されるという。

"不眠症"について執筆中のknolページ

公開後は基本的に、だれでも自由にあらゆるトピックの執筆編集が可能となるものの、knolの大きな特徴に、執筆編集者の実名公開が挙げられる。knolページ上の情報の信憑性のチェックなどの編集責任を、Googleは一切負わないとしているものの、代わりに執筆者が実名で情報を公開し、責任を持って執筆に臨むことを求める方針が採用されるようだ。また、優秀な内容のknolページほど検索ランキングの上位に入り、より多くのページビューが期待できるような仕組みになっており、自分の執筆編集ページに広告を掲載して、広告収入を得ることも可能になるとされている。

さらに、全ページにコミュニティツールが用意されており、閲覧者がコメントを残したり、質問したりできるほか、執筆内容の評価などを残すこともできるものになるようだ。