米IBMは4日(現地時間)、同社のオープンなアクセシビリティソフトウェア基盤「Accessibility Tools Framework(ACTF)」をオープンソースコミュニティのエクリプス財団(Eclipse Foundation)に寄贈すると発表した。

ACTFでは、アクセシビリティ関連ソフトウェア向けの共通化されたアプリケーション・プログラミング・インタフェースと再利用可能なコンポーネント群を提供することにより、アクセシビリティチェックツールやユーザビリティ視覚化ツールといったアクセシビリティツールを簡単に開発できる。また、マルチメディアコンテンツやオフィス文書といった多様なコンテンツに対する統一されたアクセス方法を提供する。

今回のACTF寄贈は、オープンソースコミュニティと共に研究開発を推進することで新しいテクノロジやアクセシビリティのためのガイドラインをいち早くACTFに取り入れ、開発者が最新のテクノロジ動向や高度な技術要求に素早く対応できるよう支援することを目的としたもの。同社では、全世界にはおよそ3億1,400万人の視覚障害者に加え、全世界の人口60億人のうち7億5,000万人から10億人が言語、視覚、運動、聴覚、認知のいずれかの障害を抱えているという世界保健機関(WHO)のデータを示した上で、こういった活動を「健常者と視覚障害者の間に横たわるデジタルデバイド(情報格差)を解消し、インターネットを誰でも利用できるものとする上で、不可欠なこと」と位置づけている。

今後ACTFは、HTML、OpenDocument Format(ODF)、Flashなどのコンテンツ、Java SwingやEclipse SWTといったJavaアプリケーションGUI、およびMicrosoft Active Accessibility(MSAA)やIAccessible2に代表されるアクセシビリティAPIに対応する予定だ。

エクリプス財団のエグゼクティブ・ディレクター、マイク・ミリンコビッチ氏は、「私たちは、EclipseのACTFプロジェクトにおけるIBMの貢献とリーダーシップを、非常に喜ばしく思っています。これは、Eclipseのオープンソースプロジェクトを通じてさまざまな組織が共にイノベーションを加速する、素晴らしい新たな事例といえます」とコメントしている。