Edward Zander氏。Sun Microsystemsの社長兼COOを2002年に辞し、2004年にMotorolaのCEOに就任した

米Motorolaは11月30日(米国時間)、同社のCEO兼会長 Edward Zander氏が12月末をもってCEO職を退任することを発表した。会長職については2008年5月の株主総会まで留まる意向だという。Zander氏に代わって2008年1月から同社の指揮を執るのは現社長兼COOのGreg Brown氏。Zander氏自身が選んだ後継者とされる同氏は、同社の低迷が続く携帯端末市場でどう巻き返しを図るのか、その手腕が注目される。

Zander氏は退任の理由について、「来年で私のIT業界でのキャリアは40年目になる。そろそろ人生の新たなフェーズに入ってもいい時期だし、家族との時間をもっと持ちたい」と語り、あくまでプライベートな理由であることを強調している。だが薄型携帯端末"Razr"の世界的ヒット以来、同社の携帯端末部門は低迷が続き、世界シェア第1位のNokiaには大きく水を空けられたまま、すでに第2位の座もSamsungに明け渡しているのが現状だ。AppleのiPhone登場など、携帯電話市場がダイナミックに変化している中、同社の出遅れ感は否めず、不振続きの携帯電話事業の責任を取った辞任だと思われる。

また、"行動する株主"で有名な投資家 Carl Icahn氏は、Zander氏およびMotorolaに対する強烈な批判をやむことなく展開しており、今回の辞任に少なからず影響を与えたと推測する向きもある(Motorola側は否定)。

Motorolaの新CEOとなるGreg Brown氏

10月に発表されたMotorolaの2007年第3四半期決算では、売上が88億1,100万ドル、利益が6,000万ドルで、3期ぶりに黒字決算となったものの、前年同期比94%の減益となり、Icahn氏から会社分割の要求を突きつけられていた。

新CEOとなるBrown氏は同社の戦略責任者として、さまざまな事業を牽引してきた人物。39億ドルという同社史上第2位の規模となったSymbol Technologiesの買収や、赤字続きだった車載関連ビジネスの黒字化など、その経営手腕を評価する声は多い。一方で、「Zander氏からBrown氏に替わったところで同社の戦略に大きな違いはない。Motorolaがプラス基調になるのはまだ先」と評するアナリストもおり、業界としては2008年5月の株主総会までBrown氏の"お手並み拝見"といったところのようだ。