米ライムライト・ネットワークスのジェフ・ランスフォードCEO |
デジタルコンテンツ配信サービスの米Limelight Networksは、日本における本格的な事業立ち上げに乗り出す。
日本法人のライムライト・ネットワークス・ジャパンは、今年3月に設立。7月1日から10人体制で営業を開始しており、これまでに国内16社の顧客を持つ。塚本信二社長は、「2008年度には、日本において最低でも100社の顧客を獲得する。現在、北米以外の地域の売り上げ構成比は15%だが、2年後をめどに、約半分の売り上げを北米市場以外から得る計画。欧州での成長が高いが、日本法人の売り上げ拡大もこれに大きく寄与することになる」とした。
現在、日本における顧客として、オールアバウト、ソニー・コンピュータエンタテインメント、日本経済新聞社のNIKKEI NET、マイクロソフトなどがある。今後、日本法人におけるマネジメント体制の強化のほか、営業体制、マーケティング体制、カスタマサービス体制を整備。事業拡大にあわせて社員数も増員していく考え。さらに、日本におけるデータセンターの設置やラストマイルプロバイダとの協力関係の確立といった、基盤整備およびパートナー戦略を加速する。「日本市場は、戦略上の重点地域。とくに2008年はおいては、日本を戦略的マーケットと捉え、積極的に投資を行っていく」(Limelight Networks ジェフ・ランスフォードCEO)という。
対象マーケットセグメントとして、動画、音楽、ゲーム、広告/ブランディング、ソフトウェアダウンロード、Webを対象にしており、多様なファイルタイプやオブジェクトサイズに対応したHTTP配信によるコンテンツデリバリサービスのほか、オンテマンド型やライブ型によるメディアストリーミング、多様なCDNコンポーネントを組み合わせるカスタムCDN、モバイルデバイスに最適化した形でコンテンツ配信するモバイルサービスなどを用意する。POPごとに100台以上のサーバを配備し、2008年1月までに2Tbpsまでのトータルキャパシティを確保する計画。また、日本語によるレポートツールを提供するなどのサービスを用意する。
ライムライト・ネットワークス・ジャパンの塚本信二社長 |
ライムライト・ネットワークスでは、同社が提供するCDNを新たな世代のものと位置づけ、これまでのCDNを第1世代として差別化する。「第1世代のCDNでターゲットとしていたのはWebページであり、動画や音楽、ゲームといった大容量コンテンツはターゲットとされていない。また、データセンターの運用についても、当社は集約された場所にデータセンターを配置し、そこに大量のサーバを配置する。さらに、当社が取り扱うコンテンツの60%以上はパプリックインターネットを経由せず、独自運用のファイバーバックボーンネットワークを活用し、そこからラストマイルプロバイダと経由して配信する仕組みとしている。そのため、効率的で信頼性の高い環境での配信が可能になる」と、ランスフォードCEOは、同社の特徴を語る。
同社では、マイクロソフトが毎月第2火曜日に配信しているソフトウェアアップデートサービスを担っているほか、スパイダーマン3予告編の配信などの実績がある。「マイクロソフトのソフトウェアアップデートに伴うトラフィックは、全世界のインターネットトラフィックのうち、約半分を占める規模のもの。継続的に250Gbpsにトラフィックに達する。当社では、ソフトウェア配信のほかにも、動画、音楽、ソーシャルメディア、ゲームやリッチメディアアプリケーションにおいても、数多くの成功を収めている。視聴者参加型のネット配信や広告配信といった利用も増加しており、CDNの利用範囲はますます広がりを見せている。インターネットトラフィックは、3年間で538%増加しているが、今後はさらなる成長が見込まれ、イベント発生時のトラフィックは前年比500%増で増加する。当社は、今後も急成長が見込まれる市場において、高い業績成長を維持し続けることができる」などとした。
2006年度の同社売上高は6,434万ドルに達しており、そのうち約40%のマージンを維持しているという。「今後も、40%のマージンを維持する一方、投資段階にあることから、成長に向けた投資も継続していく」と語った。