サイボウズ 青野慶久社長

サイボウズは、中小規模向けWebグループウェア「サイボウズ Office」シリーズの最新版「サイボウズ Office 7」を発売した。今回の製品では、「かんたん」「安心」を主題として、機能を追加、改善しており、携帯電話への対応を強化したほか、表示の高速化、管理機能の自動化などが行われている。また、ソフトウェア使用ライセンスに、20ユーザー版を追加するなど、さらに導入しやすくするよう配慮。販売初年度で、2,000社以上の新規採用を目標としている。

「かんたん」の点では、まず、携帯電話との連携を強め、パソコン上からの操作のほとんどが、携帯電話からでもできるようになった。従来、携帯電話上からは、「社内メール」や、費用申請などの稟議を行う「ワークフロー」といった機能を使う場合の、閲覧・確認だけが可能だったが、今回の最新版からは、メッセージ作成、申請、さらには、プロジェクト通知の確認、古い社内メールの閲覧などもできるようになっている。

PC上からする操作のほとんどが、携帯電話からもできるようになった

また、ASP型簡易VPN「サイボウズ リモートサービス」との連携も可能で、このサービスとあわせて利用すれば、ファイアウォールなどの設定を変更しなくても、社外から社内のグループウェアに、容易、安全にアクセスできるという。

「ユーザービリティ」の向上も重点化され、特に頻繁に利用されるスケジューラー機能に「Ajax」の技術を取り入れ、表示を高速化した。翌日、翌月などへのスクロール表示が円滑にできる。

さらに、ユーザーが自由に画面のデザインを変えられるよう、標準の画像以外に「アメコミ」や「ノスタルジー」などをテーマにした7種類のデザインも用意しており、12月中旬からダウンロードできるほか、「サイボウズ Office 7 サービスライセンス」を契約しているユーザーには、季節にあわせたものなど多様なデザインを定期的に提供していく予定だ。ユーザーが楽しくグループウェアを使えるようにして、利用をいっそう促進することが狙い。

サイボウズOffoce7トップ画面

スケジュール画面では、月送りの表示などが高速化された

「安心」では、指定した時間に自動でデータのバックアップを行う「自動バックアップ」や、同じく、データの最適化ができる「自動最適化」の機能を搭載した。これまでは「手作業」が主流で、システム管理者にかかる負担が大きかった。また、日本版SOX法の施行などにより、企業に求められる内部統制強化に対応、個人情報を含む機密情報を安全に管理することが可能な「ログ・アクセス権管理」機能を備えた。ログイン/ログアウト、共用データのダウンロードについては、1日分のログ参照、あるいはCSVファイルの書き出しができる。

またサポート面では、これまではメールによる質問と回答のやりとりが中心だったが、今回から、ITについてそれほど習熟していないユーザー層にも、利用しやすくするよう、「電話サポートサービス」も開始した。今回の施策により、さらに、導入への障壁を低くしたい考えだ。

一方、今回の製品では、社外との情報交換ができる環境作りにも注力している。同社では、サイボウズ製品と併せて使えるクライアント用ソフトや、情報収集・情報共有のためのサービスを提供するWebサイト「CybozuTools!」を立ち上げ、ここで、社外の取引先との業務連絡やファイルのやり取りができる、企業間グループウェア「AltSpace」の提供も開始、「AltSpace」と連携する、Webブラウザ「Mozilla Firefox」用の機能拡張も用意しており、この機能と連動させれば、グループウェアのトップページの「最新情報」欄に「AltSpace」の更新情報が表示される。

価格は、10ユーザー版が7万9,800円、20ユーザー版が13万8,000円、50ユーザー版が19万8,000円、100ユーザー版が38万0,000円、200ユーザー版が72万8,000円、無制限版が138万円、これまでは、10ユーザー版と50ユーザー版の中間がなかったが、要望の多かった20ユーザー版を追加した。同社ではサイボウズ Office 7の使用体験ができるよう、今回、Webサイトでこの製品を公開、60日間無償で試用することができる。

同社の青野慶久社長は「グループウェアというのは、一言でいえば、みんなで使えるシステム手帳」と話す。同社は1997年に設立、サイボウズ Officeの最初の製品が同年に発売された。今年は10周年という節目の年になるが、この10年間でサイボウズ Officeシリーズは2万社、200万ユーザーを獲得しているという。

発表会では、ユーザー企業を招き、グループウェアへの要望を聞く場面もあった。そこでは、「運用していくことへの不安」「セキュリティ強化」「さらに使いこなせるようにしたい」などの諸点が浮上、今回のキーワードである「かんたん」「安心」につながった。「『サイボウズ Office 1』を出した頃は、会計ソフトなどに比べれば安定度については許容範囲が広かったが、グループウェアもこれだけ普及が進むと、"止まる"わけにはいかない」(青野社長)ようになっている。氏は、そのような時代のニーズを取り込みながらサイボウズ Officeが進化を続けてきたことを強調し、試用版のダウンロードを呼びかけた。