米Novellは11月27日 (現地時間)、リアルタイムLinux OSの最新版「SUSE Linux Enterprise Real Time 10」を発表した。リアルタイム向けの最新のオープンソース技術を搭載した上で同社がエンタープライズ分野向けに強化し、従来版よりも低いレイテンシ、予測精度や信頼性の向上を実現した。

Novellのリアルタイム技術では、プロセッサやメモリ、ファブリックなどのリソースの一部をミッションクリティカルなワークロードに割り当てることが可能。これにより優先度の低い処理による全体のパフォーマンスの低下を避けられる。また外部イベントや重要度の高い処理への対応を優先してスピンロックを積極的に解放したり、優先度の低い処理がボトルネックになっている場合は、その優先度を高くして迅速な処理を実現するなど、優先度を緻密に制御することでリアルタイム向けの処理性能を実現している。

SUSE Linux Enterprise Real Time 10では、CPUシールディング、優先度継承、スピンロック解除、スレッド割り込み、ハイレゾリューションユタイマーなどに最新のオープンソース技術を搭載。OpenFabrics Enterprise Distribution (OFED) 1.2.5をサポートする。Novellによると、レイテンシの短縮、予測精度の向上は、インフラコストの大幅な削減にもつながる。例えば、金融市場においてデータサーバは、1日平均の最大15倍程度のトレーディング量の上昇を想定して、通常5~10%のキャパシティで運用されている。予測性能とレスポンスに優れたSUSE Linux Enterprise Real Timeでは10~40%で同様の品質のサービスを実現できるという。またConcurrent Computer CorporationのNightStarツールと併用することで、効果的なボトルネックの特定が可能になり、効率的にターゲット性能を実現できるとしている。

SUSE Linux Enterprise Real Time 10は年間2,500ドルのサブスクリプションで提供されており、既存のSUSE Linux Enterprise Real Timeユーザーは契約中のサブスクリプションをそのまま最新版にアップグレードできる。